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【助産師監修】着床障害の原因は?検査と治療方法について

2018.09.21

夏川 ユキ

Writer / 看護師

0歳2歳の姉妹を育てています。看護師ですが育児休業中で、将来はお母さんたちの支えになれるような助産師、もしくは産科の看護師として働きたいと思っています。食事や健康、育児について学ぶのが大好き。アロマやハーブティーに触れる時間が憩いのひとときです。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮へと移動し、子宮内膜の中に入ります。これが妊娠成立において大切な「着床」です。

せっかくうまく受精できても、この着床がうまくいかないと妊娠は成立しません。自然妊娠はもちろん、体外受精においてもこの着床という段階は大変重要です。

では着床が上手くいかない着床障害(着床不全)にはどのような原因があるのでしょうか。

着床障害の原因には主に大きく分けて2つの原因があります。それは「子宮などの器官が原因の場合」と「ホルモンが原因の場合」です。

子宮などの器官に原因がある場合

夫婦

ポリープや筋腫がある

子宮内膜にポリープと呼ばれるいぼのような良性腫瘍ができている場合、これらの出来ている場所や大きさによって着床しにくくなります。

子宮内膜に筋腫ができる粘膜下筋腫などは、受精卵が着床する場所が限られてしまうので流産しやすいといわれています。

子宮奇形の場合

女性の5パーセントに先天性の子宮奇形がみられるといわれています。

角子宮のように子宮の中が二つに分かれているものなど、子宮奇形といっても様々で、全く気づかず妊娠を機に発見される場合もあります。

しかし中には、形状が着床しにくいような形の奇形もあります。

子宮内膜の厚さが薄い

流産や中絶を繰り返すことで子宮内膜の厚さが薄くなり、そのことが原因で着床しにくくなる場合があります。子宮内膜はいわば赤ちゃんのベットになりますのである程度の厚みは必要です。

ホルモンに原因がある場合

ホルモン

卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は非常に重要な役割をもっています。

卵胞ホルモンの作用によって増殖し厚くなった子宮内膜は、黄体ホルモンの作用により受精卵が着床しやすい状態になります。

ホルモンがうまく分泌されずにこの機能が働かないと、子宮内膜が着床に適した状態になりません。

また、受精卵が着床に成功しても、黄体ホルモンが分泌され続けなければ、子宮内膜の状態を保てないのです。

着床障害の検査とは?

検査

子宮などの器官を検査する方法

子宮など器質的な問題はおおかた超音波検査で発見できます。子宮奇形の場合にはMRIや子宮卵管造影検査などをおこないます。

ホルモンを検査する方法

以前は黄体期の子宮内膜の組織を顕微鏡で調べて診断していました。しかし、最近では黄体期中期に血液をとり、血液中の黄体ホルモンを調べる検査が主流となってきました。

血液検査以外にも、基礎体温の乱れがあると黄体機能不全ともいわれますが、一概にそうではありません。排卵日から次の月経までの日数が10日以下の時には黄体機能不全の可能性があります。

着床障害の治療方法

検査

子宮などの器官に原因がある場合

ポリープや子宮の形状が原因の場合には、状態によっては子宮鏡を用いて病変を切除したり、子宮形成手術をすることで妊娠に近づける事ができます。

子宮内膜が薄くなっている場合に対しては今のところよい治療法はありません。ですが、排卵障害の治療薬であるクロミフェンの副作用で子宮内膜が薄くなる場合があります。

その場合は排卵誘発剤を別のお薬に切り替えれば改善されます。

ホルモンに原因がある場合

ホルモンに原因がある場合は、黄体ホルモンの飲み薬や、HCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)の注射などがあります。

ホルモンは一生に分泌される全部を合わせてもスプーン1杯にも満たないといわれています。しかしホルモンは微量でも心身に大きな影響を与えます。


薬剤等の治療に頼るだけでなく、不規則な生活の改善やストレスの軽減も大切です。出来る事から無理のない程度に体を動かす習慣をつけ健康的なライフスタイルを心がけましょう。

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