【助産師監修】妊娠初期~後期の理想の体重増加は?妊婦さんの体重管理
2018.07.13
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠すると赤ちゃんやお母さんに必要な分だけ体重は増加します。必要以上に増えても減ってもよくありません。
最近は体重が増えすぎてしまう方だけでなく、食事を制限しすぎて増えない方もいて問題になっています。
いったい妊娠中はどのくらい体重が増加するのが好ましいのでしょうか。妊婦さんにとって好ましい体重管理についてお話しします。
妊婦さんの理想の体重増加量
妊娠すると赤ちゃんに栄養を送るため、また産後の授乳に備えて脂肪を蓄えるようになります。
他にも大きくなる子宮や乳房、増加する血液、羊水や胎盤、赤ちゃんの成長などによって体重は増加します。
体重増加の内訳は子宮や乳房の増大や血液増加で3~4kg、羊水が500g、胎盤500g、赤ちゃんが3kgで少なくても7kgは増加し、さらに赤ちゃんを育てていくために必要な脂肪が体型に応じて増加します。
好ましい体重増加の目安は、BMIが18.5未満の痩せ気味の方で9~12kg、BMIが18.5~25未満の標準体型の方で7~12kg、BMIが25以上の太り気味の方で5kg前後といわれています。
妊娠初期~後期の理想の体重増加量
妊娠初期の体重増加量
妊娠中に増える体重は上記の通りですが、妊娠期間のいつ頃どのように体重は増加していくのでしょうか。
妊娠初期はつわりがあり、また子宮や赤ちゃんの大きさがまだ小さく体重の変化はほとんど見られません。体重の増加は2kg未満に抑えましょう。
反対に3kg以上体重が減ってしまう場合は妊娠悪阻といい脱水の可能性があるので、病院で点滴をしてもらうなどの治療が必要になります。
妊娠中期の体重増加量
つわりが落ち着く妊娠中期に入ると体重が増えやすくなります。食欲が増してくることもありますが、乳腺が発達し始め、子宮が大きくなったり羊水が増えてくるためです。
次の健診に行く1ヶ月の間の体重増加は1.5~2kg未満に抑えましょう。
妊娠後期の体重増加量
妊娠後期に入るとお腹が大きくなり動きにくくなることに加え、赤ちゃんの成長スピードが加速し、羊水量や血液量も一番多くなってくる時期で足も浮腫みやすく体重はさらに増えやすくなります。
1週間の体重増加は500gを超えないようにしましょう。
体重が増加しすぎて起こるトラブル
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは妊娠20週以降、産後12週までに起こる高血圧、浮腫み、蛋白尿などの症状が出ることをいいます。
妊娠高血圧症候群になると母体たけでなく赤ちゃんにも悪い影響を与えるため、できるだけ予防することが大切です。
急激な体重増加は妊娠高血圧症候群のリスクといわれているので、予防のためにも体重管理は大切です。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは妊娠することで糖代謝がうまくコントロールできず、高血糖が続くことをいいます。
母体の高血糖が続くことで赤ちゃんが巨大児になり難産のリスクになったり、生まれた後に低血糖を起こしたりすることがあります。
また羊水量の異常や妊娠高血圧症候群にもなりやすいといわれています。適正なカロリー摂取と体重管理を行うことで糖代謝のコントロールがうまくいくケースが多いです。
分娩遷延
母体が太りすぎることで赤ちゃんが巨大児になることもあります。
産道まで脂肪が付いたりすることで骨盤と赤ちゃんとの大きさに不均衡が起き、難産や分娩遷延(初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかっても生まれないこと)のリスクが高まります。
分娩が遷延すると出血量も多くなったりするので産後にも影響が出てきます。
体重が少ないことで起こるトラブル
貧血
妊娠中は赤ちゃんに酸素や栄養を送るため貧血になりやすいです。さらにやせ気味の方や、妊娠中に体重増加が乏しいと必要な血液が作られず貧血が進んでしまいます。
妊娠中は赤ちゃんに優先的に血液が送られるため、体のだるさや息切れ、ふらつきなどの貧血症状が強くなってしまいます。また、分娩時の出血が多くなると輸血のリスクが出てきてしまいます。
低体重児
適切なエネルギー補給をおこなわなければ赤ちゃんへ必要な栄養が行き渡らず、低体重児となってしまうことがあります。
妊娠時期に合わせて必要な栄養素やエネルギーをきちんと摂って必要な体重増加がなければいけません。
妊婦の好ましい体重管理
バランスのよい食事を摂る
妊娠時期に合わせて必要カロリーやビタミン、カルシウムなどの推奨量が決められています。つわりが落ち着いたらそれらを参考にバランスのよい食事を心がけることが大切です。
1品で量をたくさん摂るのではなく、品数を多く摂るようにしましょう。何かを減らすのではなく、きちんとバランスよく食べることで栄養が充足し結果的に満足感が得られ食べすぎ防止になるのです。
詳しくは助産師が教える妊娠中に良い食べ物・食べ方もご参考ください。
間食を適度に摂って空腹を避ける
食事と食事の間が空きすぎて空腹感が強くなるとドカ食いしてしまいます。上手く間食を取り入れて空腹感を作らないようにしましょう。
間食はスナック菓子ではなく、干し芋やドライフルーツ、ナッツなど噛むことで満腹感が得られるものやおから入りクッキーや野菜ケーキなど低カロリーおやつがおすすめです。
間食時はノンカフェインの温かいハーブティーを一緒に飲むとさらに満足感と満腹感が得られます。甘さが足りないときは蜂蜜や果汁を混ぜてもよいでしょう。
みんなで食べて食事を楽しむ
体重のことばかり気にしていると気が滅入ってしまいます。時にはご主人や友人と外食もよいでしょう。
外食はなるべく自然素材のものや野菜をたくさん摂りましょう。たくさんおしゃべりをしてストレスを発散させて気分転換するとよいですよ。
外食の後は散歩やウィンドウショッピングをして適度に体も動かすとさらに効果的です。
妊婦の体重管理はバランスが大切
妊娠中の体重管理はバランスが大切です。食事内容や体重変化も短期間で減らしたり増えたりと極端にならないことが大切です。
妊娠中に必要な栄養素を意識しながら無理のない程度に体重管理もおこないましょう。
妊娠中の体重管理についての体験談はこちら:
「妊娠中の体重増加にご注意を!~怒涛の妊娠・出産エピソード~」
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AMOMAのパートナー
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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