【助産師監修】つわりのピークはいつ?その原因と対処法
2018.07.31
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠していることを一番に実感するのがつわりという方も多いかも知れません。喜びもつかの間、いつまで続くか分からない吐き気に、気持ちも滅入ってしまいますよね。
つわりの原因は何か、つわりのピークはいつか、その対処法を知って辛いつわりを乗り越えましょう。
つわりの原因
実は、つわりの原因はまだはっきりとは分かっておらず、たぶんこれが原因だろうという仮説の段階で留まっています。
hCGの急激な分泌によるもの
妊娠が成立すると、受精卵の一部からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが急激に分泌されます。
このhCGは黄体を刺激してプロゲステロンの分泌が低下しないようにしています。これにより、受精卵は成長し妊娠を維持させているのです。
ところが、あまりにも急激に増加するため体がついていかず、つわりがおこるのではないかという説があります。
反対につわりの重症度が必ずしもhCGの分泌量と一致しないので、hCGだけがつわりの原因ではないと考えられています。
体の拒絶反応によるもの
妊娠は自然の摂理に従ったものとはいえ、妊娠初期の体はまだ受精卵を異物として認識してしまうのではないかという説があります。一種のアレルギー反応としてつわりが出るという説です。
自律神経の乱れによるもの
妊娠により急激に体が変化するため心が追いつかず、自立神経が乱れることによってつわりがおこるのではないかといわれています。
妊娠を維持させるための防衛反応
妊娠を維持させ、流産を防ぐために、つわりによって体をあまり動かさないようにしているという説や体に悪いものを排除させるために嘔気や嘔吐がおこるのではないかという説もあります。
このように色々つわりには説がありますが、原因はこれら全てなのかも知れませんし、全く違う原因があるのかも知れません。
つわりのピークはいつ?
では実際、つわりのピークはいつなのでしょうか。つわりは個人差が大きいところがありますが、早い人で妊娠5週頃から感じ始め、9週前後がピーク、11週頃から落ち着いてくる方もいらっしゃいます。
遅くても胎盤が出来上がる15週くらいには治まる方が多いようです。
このつわりのピークは、先ほどお話ししたhCGの値がピークに達するときと同じで、hCGがつわりの原因といわれる要因でもあります。
ところが、hCGが多いからつわりがきついとはいえず、hCGがまだ少ない超初期の頃からつわりを感じ始める方や臨月までつわりが残る方など様々です。
つわりはとても個人差が大きいことと、平均すると9週前後がつわりのピークであるといえます。
つわりのピークで辛い時の対処法
つわりがおこったらどうにかこの気持ち悪さを取りたいと思うものです。少なくても1ヶ月は続くつわり、その対処法を考えてみましょう。
食べられるものだけ食べる
妊娠した途端、栄養のある食べ物を摂らないとダメと思うとプレッシャーになって余計食べられなくなってしまいます。
赤ちゃんは胎嚢から栄養をもらっていますので、つわりが強い時期はあまり深く考えず、食べられないときは無理に食べなくても大丈夫です。
ただ水分は摂らないと脱水になってしまいますので、氷をかじるなど意識して脱水にならないようにしましょう。毎日これだけ食べないとダメと思わず、2~3日間くらいで栄養バランスを調整するとよいでしょう。
ちなみに初期は葉酸を摂ることを推奨していますが、葉酸のタブレットや薬も気持ち悪くて飲めないという方は、白湯や水ではなく酸味があるハイビスカスやローズヒップのハーブティーなどが口当たりもよく、飲みやすいですよ。
気を紛らわせる
つわりで気持ちが悪いとつい何もせずじっと我慢するだけになりがちですが、気を紛らわせる方法を見つけて積極的に動いた方が楽という方も多いです。
例えば、思いきって外に出てご主人やご友人とお茶を楽しんでもいいでしょう。仕事に夢中になっているほうが楽という方もいらっしゃいます。
漢方を試してみる
漢方は病気や症状を治すというのではなく、体調を整えることで調子をよくするというものです。
つわりに良いといわれているのは、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などです。
胃腸の調子を整えたり、吐き気を緩和させたり、気持ちを落ち着かせる効果があるといわれています。漢方は水で溶かして冷やすと飲みやすいです。
アロマオイルを試してみる
ある匂いを嗅ぐとすっきりするという条件付けをしてあげると、ムカムカした気分に対応しやすくなります。
大脳にある海馬は、快・不快の感情と匂いをともに記憶する領域です。心地良い感情とともに、好きな香りが記憶に残るようにしましょう。
特にオススメなのは、妊娠初期から使える爽やかな香りのペパーミントや、グレープフルーツ・レモンなどの柑橘系のアロマオイルです。
「つわりを軽減する方法」でもつわりの対処法をご紹介しています。ご参考になさってください。
つわりに対処できない時、病院にはいつ?
どうしてもつわりが辛いときは、病院で点滴をしてもらいましょう。つわりで水分や食べ物が摂れないとミネラルや電解質が不足しがちになり、だるくなってしまいます。
病院で糖分や電解質の入った点滴をしてもらうと楽になる方も多いです。また、助産師や医師に話を聞いてもらうだけでも気が紛れます。我慢したり無理したりせず、病院に行くといいですよ。
さらに次のような症状がある方はすぐに病院に行くようにしてください。
1. 一日中吐いている
2. 水分も全く摂れない
3. 体重が4kg以上痩せた
4. おしっこの量が少ない
5. ふらふらして日常生活がままならない
これらは妊娠悪阻といって、病院で入院が必要になる場合があります。このような症状があったら妊婦健診を待たずに受診するようにしてください。
つわりのピークはいつか終わる
つわりは軽い人から重い人まで本当に様々です。それに、完全に治すことは出来ないので、辛い時期かもしれません。でも、つわりのピークはいつか終わります。
長引く方も楽になるときがくるので、それまでは無理せず、うまく対処しながら待ちましょう。そしてどうしても辛いときはいつでも病院に行くようにしてくださいね。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
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