【助産師監修】妊娠初期に必要な葉酸、その効果は?葉酸を含む食べ物は?
2018.08.17
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠初期に葉酸を摂るようにいわれていることはよく知られていますが、それはなぜだかご存知ですか?また葉酸はいつからいつまで飲むのがよいのでしょうか。
聞いたことはあるけれど、葉酸ってそもそもなんなの?どんな効果があるの?と疑問に思っている方も多いと思います。今回は葉酸についてご紹介します。
葉酸の正体
葉酸とは
葉酸は水溶性のビタミンB群の一種です。最初に発見されたのは、ほうれん草から抽出されたもので、名前の由来にもなっているとおり葉物の野菜に多く含まれています。
人の体に必要なビタミンは主に13種類あり、葉酸もその内の一つです。ビタミンは色んな栄養素とともに代謝を助け、エネルギーを生み出す大切な役割をしています。
葉酸の役割
葉酸は主にたんぱく質や核酸の合成にかかわっています。核酸とは細胞の核になる部分で、新しい細胞を造るときに遺伝情報を伝える役割をしています。そのため、細胞の産生や再生には欠かせない栄養素です。
また、ビタミンB12とともに赤血球の産生にも関わっているので、血を造る過程で必要不可欠な栄養素といえます。
葉酸の効果
受精から胎児期の細胞分裂を助ける
精子と卵子が受精してから、妊娠初期(排卵日~妊娠11週頃)の間は、特に細胞分裂が活発におこる時期です。葉酸はこの時期の細胞分裂を正しくおこなってくれる役割をしています。
そのため不足すると細胞分裂がうまくおこらず、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害といった赤ちゃんに重大な病気が見つかることがあります。
不足による先天異常は妊娠10週以前に多く、中枢神経系の異常は妊娠7週未満までに多いという報告があります。
細胞の再生を助ける
葉酸は細胞の産生だけでなく再生にかかわっています。正しく細胞が再生されることで癌を防ぎ、皮膚や粘膜の再生がおこなわれることで若々しさを保ちます。
そのため、妊婦だけでなく成人の男女にとっても必要不可欠な栄養素なのです。
貧血を予防する
葉酸は造血には欠かせない栄養素で、ビタミンB12とともに赤血球の産生にかかわっています。そのため、不足すると悪性の貧血や口内炎、下痢、食欲低下を招いてしまう恐れがあります。
貧血予防のためには、鉄分だけでなく葉酸も大切な栄養素といえます。
母乳を作る
葉酸は造血には欠かせないビタミンなので、血液から作られる母乳にとっても必要不可欠な栄養素といえます。栄養豊富な母乳を作るためには葉酸が欠かせません。
また赤ちゃんにとっては、葉酸は母乳からしか補給できません。そのため葉酸が不足した母乳では赤ちゃん自身も葉酸不足となり、成長を妨げる可能性があります。
葉酸は妊娠初期だけでなく産後も努めて摂取するようにしましょう。
動脈硬化を予防する
葉酸が不足すると、悪玉アミノ酸といわれるホモシステインという物質が増えることが最近の研究でわかってきました。
ホモシステインは血管内を傷つける作用があるため、増えることで動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞をおこすリスクを高めます。
葉酸はこのホモシステインを善玉アミノ酸へ変換してくれるので、動脈硬化の予防に役立っているのです。
いつからいつまで?葉酸の必要摂取量
妊娠中に葉酸が必要なことはわかりましたが、いったいいつからいつまで摂ればよいのでしょうか。
神経管閉鎖障害を防ぐには、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月(妊娠11週)までに十分な葉酸を摂取する必要があるといわれています。
必要な葉酸の摂取量は、妊娠前~妊娠中の女性が400μg/日で、授乳期は280μg/日とされています(日本人の食事摂取基準2015年版)。
妊娠中はもちろん、授乳中まで葉酸は摂り続けましょう。
葉酸が含まれる食品・食べ物
葉酸が多く含まれている食べ物をご紹介します。
・ホウレンソウ 60g(2株) 126μg
・春菊 60g(3株) 114μg
・グリーンアスパラ 60g(3本)114μg
・ブロッコリー 50g (2房) 105μg
・イチゴ 75g(中5 粒) 68μg
・納豆 50g(中1 パック) 60μg
(文部科学省「五訂日本食品標準成分表」より抜粋)
レバーなども葉酸を多く含みますが、ビタミンAも多く含んでいるので過剰摂取には注意してください。
サプリメントでの摂取
葉酸は代謝の過程でさまざまな影響を受けるため、食品から摂取した場合の体内摂取量は約50%といわれています。そのため厚生労働省は、食品に加えてサプリメントで摂取するよう推奨しています。
ただサプリメントは添加物や含まれる成分もさまざまですので、できるだけ食事で補うように心がけ、利用についてはお医者さんに相談してみましょう。
また葉酸摂取の上限は1000μg/日までとされていますので、摂り過ぎにも気をつけましょう。
葉酸を摂って元気な赤ちゃんを
妊活中・妊娠中・授乳中の女性にとって、葉酸はとても大切なビタミンです。葉酸を多く含むほうれん草や春菊などの食品から摂取を心がけましょう。
また、葉酸は他のビタミンと同時に摂取した方がより効果を発揮します。ビタミンが豊富なハーブティーと一緒に飲むなど工夫するとよいでしょう。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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