出産準備

【助産師監修】産後にしなければいけない手続きについて

2018.11.27

Mayumi Maruyama

Mama writer

2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

出産を終えると、出生届や医療費助成の申請などさまざまな手続きをしなければなりません。意外と種類が多く、提出期限が短いものもあるため慌ただしく感じるかもしれません。

また、提出し忘れると用意されている助成や給付が受けられず、損をしてしまうこともありますのでしっかり把握しておく必要があります。

産後にしなければいけない手続きについて、解説します。

産後に必要な手続きの一覧

産後に必要な一般的な手続きを以下にまとめました。

ママの勤務状況や出産にかかった費用により必要な手続きが異なりますので、自分がどの手続きをしなければならないのか、事前に把握しておくと産後にバタバタすることがありません。

提出期限が短く定められているものもあります。下記の順番にすすめると良いでしょう。

①出生届

すべてのママが対象で、出産日を含めて14日以内。

②児童手当

すべてのママが対象で、出産日翌日から15日以内。

③健康保険の加入

すべてのママが対象で、原則1ヶ月健診まで。

④子どもの医療費助成

すべてのママが対象で、産後できるだけ早く。

⑤出産育児一時金

妊娠4ヶ月以上(85日)の出産で、健康保険に加入しているママが対象で、出産日翌日から2年以内。

⑥出産手当金

働いているママで、健康保険に加入しており、給料が出ない方が対象で、産休開始翌日~2年以内。

⑦育児休業給付金

働いているママで、勤続2年以上で雇用保険に加入している方が対象で、育休開始日1ヶ月前まで。

⑧高額療養費

妊娠や出産で保険適応の治療を受け、同一月にかかった自己負担額が高額になった方が対象で、診察日の翌月から2年以内。

⑨医療費控除(還付申告)

出産費用を含め、世帯の年間医療費が10万円を超えた方が対象で、出産した年の翌年3月の確定申告(5年間はさかのぼり請求可能)。

産後に必要な手続きの詳細①

次に、それぞれの手続きを誰がどのように行うのかなど詳細について解説していきます。

産後、赤ちゃんのお世話はママが中心になります。パパや他の家族にお願いできるところは事前にお願いするなどして、慌てないようにしましょう。

出生届

産後にしなければいけない最初の手続きです。この手続きが完了しないとほかの手続きに進めませんのでなるべく早く提出するようにしましょう。

提出期限を過ぎても受理はしてもらえますが、正当な理由がなく提出が遅れた場合は罰金が課せられることもあるので注意しましょう。

<提出期間>
出産日を含めて14日以内に。出期限の14日目が日曜や祝日の場合は、翌日15日目まで提出期限が延長されます。

<対象者>
届出人(必要事項を記入し、届出人署名欄に署名・押印をする人)は父または母になります。

窓口に届け出る人は代理人でもOKですが、その場合には証明書などが必要になる場合があるので事前に提出先に問い合わせておきましょう。

<手続き>
医師や助産師の出産証明が入った出生届、母子手帳、届出人(父または母)の印鑑、身分証明証などを持参して、父または母の住所地、本籍地または赤ちゃんの出生地の役所の戸籍係へ提出します。

旅行中・里帰り出産の場合は、滞在地の役所に提出します。その場合でも本籍地に届く仕組みになっています。児童手当などの申請を考えると、住所地での届け出が便利です。

健康保険の加入

赤ちゃんが生まれたら、すみやかに両親の健康保険に加入しましょう。共働きの場合は、収入が多い方の健康保険に加入するのが一般的です。

国民健康保険の場合は、出生届と同時に手続きできます。加入先により規定が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

<提出期間>
原則として赤ちゃんの1ヶ月検診までに加入しておきましょう。

1ヶ月検診は基本的に自費診療であることが多いのですが、補助してくれる自治体も多く、無料~数百円程度で受けられることの多い健診です。

赤ちゃんの健康状態によっては診察や治療、投薬などを行う場合などもあるため、健康保険証を持参しておきたいものです。

間に合わない場合は、当日は自費で支払い、後日、領収書と保険証を持参し返金してもらうことも可能です。

<対象者>
健康保険に加入している父または母。

<手続き>
国民健康保険の場合は自治体の担当窓口に、社会保険の場合は勤務先の担当窓口に届け出ます。

親の健康保険証、母子手帳、身分証明証、個人番号がわかるものなどが必要になりますが、加入先により異なるため確認が必要です。

子どもの医療費助成

子どもにかかる医療費の全額または一部を自治体が補助してくれる制度です。子どもの対象年齢や金額などの内容は自治体により異なります。

<提出期間>
自治体により異なるので確認を。しかし、赤ちゃんの健康状態によっては診察や治療、投薬などが急に必要になる場合があるので出来るだけ早く申請しておきたいものです。

<対象者>
父または母。

<手続き>
住民票のある市区町村役場の担当窓口へ届け出ます。申請書、子どもの健康保険証などが必要になります。

児童手当

子育て中の家庭の経済的負担を少しでも軽減できるよう、0歳から中学校卒業までの子どもを養育する人にお金が支給される制度です。

もらえる金額は、3歳未満は月額1万5000円、3歳~15歳は1万円(第3子以降は1万5000円)、所得制限を超えた場合は5000円となります。

<提出期間>
出産日翌日から15日以内に。

<対象者>
原則、養育者のなかで所得が高い人。

<手続き>
住民票のある市区町村役場の担当窓口へ届け出ます。

印鑑、個人番号がわかるもの、申請者の健康保険証もしくは年金加入証明書、申請者名義の普通預金通帳、所得証明書(その年に転居した場合は課税証明書)が必要になります。

産後に必要な手続きの詳細②

出産

出産育児一時金

入院や分娩費用などをまかなえるよう、加入している健康保険から子ども一人につき42万円が支給されます。

受け取り方にはいくつかのパターンがありますが、加入先の健康保険から産院にお金が支払われる「直接支払制度」を利用すれば退院時の支払いは42万円を超えた分だけになるため便利です。

かかった金額が42万円に満たない場合は、健康保険に申請すれば差額が返金されます。

「直接支払制度」がない産院の場合は自分で手続きすることで健康保険から産院にお金が支払われる「受取代理制度」もあります。

どちらの制度も利用せず、産後に健康保険へ請求の申請をすることも可能です。

<提出期間>
自分で請求する場合は、出産日の翌日から2年以内。

<対象者>
妊娠4ヶ月以上(85日)の出産で、健康保険に加入しているママ。

<手続き>
健康保険証や医療機関等発行の合意書などを持参して、加入の健康保険担当へ提出。

出産手当金


働いているママの中で、勤務先から給料が出ない、または減ってしまう場合に、加入している健康保険または共済組合から給料の約2/3の手当金が受け取れる制度。

国民健康保険加入のママは対象外となります。

手当金が支給される期間は、出産日を挟んで産前42日(多胎の場合は98日)から産後56日までの中で会社を休んだ期間となります。

<提出期間>
産休開始翌日から2年以内に。

<対象者>
母親のみ。

<手続き>
勤務先の担当窓口などへ申請。申請書類には産院の証明が必要になることが多いので、入院時に依頼しておくと良いでしょう。

育児休業給付金

勤続2年以上で雇用保険に加入している働いているママは、子どもが1歳になるまでの育休中に、給料の67%もしくは50%が育児休業給付金として支給されます。

保育所に入所できないなどの理由がある場合は、最長2歳まで延長する事が可能です。

<提出期間>
育休開始日1ヶ月前まで。

<対象者>
働いている母親で育休を取得した人。

<手続き>
勤務先またはハローワークで手続きを。手続きが複雑かつ締切が厳しいので、事前にしっかり確認しておきましょう。

産後に必要な手続きの詳細③

高額療養費

妊娠・出産にかかる医療費のほとんどは健康保険が適応されず自費となりますが、切迫早産や帝王切開などの医療措置が行われた場合は健康保険が適応されます。

その中でも自己負担限度額を超える医療費がかかった場合、超えた分の金額を健康保険が返還してくれる制度です。ただし月をまたぐと、医療費が合算できないので注意が必要です。

予定帝王切開など事前に医療費が高額になることが予想されている場合は、あらかじめ健保組合で限度額適用認定証をもらっておくとスムーズです。

<提出期間>
診察日の翌月から2年以内。

<対象者>
帝王切開など適用対象の治療を受け、同一月にかかった自己負担額が高額になった方。

<手続き>
専業主婦・会社員・公務員の方は、加入先の健康保険または共済組合へ申請。自営業・自営業の妻の方は市区町村役場の担当窓口へ申請を。

医療費控除(還付申告)

医療費が1年間で10万円以上かかった年は医療費控除が受けられるので是非申告を。妊娠・出産において自費で支払った分もまとめて申告することができます。

申告をすれば、払いすぎた所得税が戻るほか、翌年の住民税も安くなり、保育料が安くなる可能性もあるなどメリットがたくさん。

世帯単位でまとめられるので、家族全員のかかった医療費の領収書は保管しておきましょう。

<提出期間>
出産した年の翌年3月の確定申告(5年間はさかのぼり請求可能)。

<対象者>
世帯のなかで所得が高い人。

<手続き>
住所地の税務署へ申告します。インターネットで申告すれば、直接出向く必要がなくおすすめです。医療費として認められるか否か等の不明点は、税務署へ確認を。

生命保険

切迫早産や帝王切開など民間でかけている生命保険会社の中にも女性特約など保険金が下りる場合もあります。診断書の添付が基本になりますが確認しておきましょう。


いかがでしたでしょうか。産後すぐにたくさんの重要な手続きがあり、大変に感じるかと思います。

届け出をすることで金銭的なメリットもたくさんあるため、損をしないためにも、提出漏れがないよう事前にしっかり確認しておくことをおすすめします。

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