【助産師監修】産後のイライラ、原因と解消法
2018.06.08
AMOMA編集部
【助産師監修】産後のイライラ、原因と解消法
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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赤ちゃんが生まれて幸せいっぱいのはずの毎日。
でも、いつの間にか泣き止まない赤ちゃんにイライラ、それに気づかずに隣で寝ているパパにもイライラ、そしてそれを許せない余裕のない自分にもイライラ。
子供を生むまではこんな自分ではなかったはず?と思い悩むママも多いのではないでしょうか。ここでは、産後のイライラの原因と解消法についてまとめてみました。
産後のイライラの原因とは
産後の急激なホルモンバランスの変化によるイライラ
妊娠中は、女性ホルモンを中心とした様々なホルモンが胎盤で作られています。しかし、出産を機に胎盤が体内から排出されるとそのホルモンは急激に減少します。
そのホルモンバランスの変化に身体がついていくことができずに、出産後多くの女性が情緒不安定になるいわゆる「マタニティブルー」と言う状態になります。
マタニティブルーは、自分で自分の感情がコントロールできなくなり些細なことでイライラしたり落ち込んだりと産後のイライラの大きな原因となっています。
詳しくは「マタニティブルー・産後うつの症状」も参考にしてみてください。
達成感が得られずイライラ
子供が生まれるまでは当たり前にできていたことが何一つできない。赤ちゃんを泣き止ませるためにすべての作業が中途半端になり、気づけば達成感を得ることができない毎日を送っています。
食事も立ったまま流し込みように食べ、洗い物も最後まで終えることができなかったり、洗濯も掃除も何もかもが中途半端になってしまいます。
普段から完璧に物事を進めたいママにとっては、この中途半端感がイライラを増大させる原因になっています。
自分のケアができずイライラ
出産前までは、自分が思う通りに好きな服を着てお化粧をし、好きな時に好きな事ができ、ストレスが溜まれば発散し、という生活を行っていたのに…。
出産後は、ゆっくりお風呂にも入れない、お洒落な服もお化粧も何もかもが二の次になってしまいます。
そして、パパからの何気ない「化粧しなくなったね。」「太ったんじゃない?」などの言葉に傷つくママも多いのではないでしょうか。
24時間休みがないというプレッシャーにイライラ
食事も、トイレも、リラックスタイムも、寝ているときでさえ、ママはいつ呼ばれるかわからない中24時間を過ごしています。
お仕事にはお休みがありますが、育児にはそれがありません。しかも、呼ばれてから抱っこして寝付くまで、3時間以上かかることもあります。
時間が読めない日が365日毎日続くなんて、子供を生むまで経験したことがない事です。緊張状態が続きゆっくり睡眠を取る事もできない日々が続くと慢性的なイライラは溜まっていきます。
産後のイライラ解消法
家事に完璧を求めない
主婦であれば、炊事や洗濯、育児や掃除にと家のことをすべて回せて当たり前だと思っていませんか。赤ちゃんがいれば時間を自由に使うことはできなくなります。
「今日も何もできなかった」とネガティブに考えるのではなく、
「今日もいっぱい赤ちゃんと向き合えた。」
「初めてのハイハイを見ることができた。」
「掃除はできなかったけれど、お皿は洗えた。」
など、自分と赤ちゃんのできたことを数えていきましょう。家事も、産褥シッターさんなどアウトソーシングでやりくりする事を考えてもよいでしょう。
日々の出来事をパパと共有し、夫婦で協力できる体制を作る
1日中家にいて家事をまともにできない、そんな毎日に対して「専業主婦なのになぜ家事ができないんだ」と心無い一言に傷ついた経験、ありませんか?
家事をしたくても、赤ちゃんのお世話でできない、赤ちゃんが寝ている間は自分も一緒に休まないと身体が持たない、0歳のころは家事より育児に時間がとられて当たり前です。
それは赤ちゃんを大事に思っているからこそ。
本当は家事をしたい、でもできなかったという言い訳のみを伝えるのではなく、赤ちゃんを見ていてもらえたらその間にお皿が洗える、洗濯物が干せる、ということを伝えましょう。
男の人は具体的に言葉にしないとわかってもらえない事が多いので、「ゴミは貴方が出してくれると助かるわ」など言ってみてはいかがでしょうか?
一人の時間を作る
母乳育児の場合、まだ月齢が小さいときは一日に何度も母乳を欲しがります。30分空けばいい方、実際にはもっと短い頻度で欲しがる時もあります。
そうなるとなかなかパパに預けて外出ということに踏み切れませんよね。それなら、一緒に出かけて少しだけ一人でカフェに入ってみてください。
飲み物一杯を邪魔されずに飲み終える。最後までやり遂げる、という達成感を久しぶりに感じましょう。これだけでも随分とホッとしませんか。
どうしても外出するのが難しい場合は、お風呂や抱っこなど少しの間パパに任せて、ゆっくりお茶を飲む時間を作ったり、産後ママ専用のアロマでリラックスするなど自分なりのリラックス法を見つけてみるのもいいかもしれませんね。
育児ができて当たり前、のパパを育てあげる
おっぱいをあげることができない以外は、パパもできます。やったことがないからできないだけで、不安なパパには丁寧にやり方を伝えましょう。
新生児のころからオムツ替えや寝かしつけをお願いすると、意外とパパのほうが上手にできた、なんていう話も。どんどん頼って、褒めて伸ばしましょう。
親戚やお友達の前で褒めるのも効果的です。イライラしたら、パパとバトンタッチ。パパをうまく育てることができれば、ママ自身にも余裕ができてイライラする回数も減るかもしれません。
子供を第三者に預けて息抜きをする
パパが子供と二人で過ごせるようになれば、月齢が上がるにつれ数時間預けることは可能になってきます。
いつ泣き出されるかわからないストレスとは無縁の中、友達と会ってお茶しておしゃべりを楽しんで見ましょう。
パパでなくても実家のお母さん、保育園の一時保育、ベビーシッターさんなど、たまにはママという鎧をおろして、一人の女性としての時間を楽しんでみてはいかがですか。
こうすればイライラがすべてなくなる!という方法はなかなかないですが、
・日々ストレスをためすぎず、パパやお友達に話して発散すること
・日常に少しでも達成感を見つけていくこと
・育児をがんばっている自分を認めてあげること
など…こんな些細な積み重ねがママのイライラを少しでも解消してくれます。
ママが笑顔でいるためには、家族のサポートが必要です。一人で頑張りすぎないで周りを頼って、たまには少しの休息を。少しでも気が楽になってくださればと願うばかりです。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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