【助産師監修】AMH検査とは?卵巣年齢検査でわかるAMHの数値や妊娠の確率について
2019.05.17
ことまま
Mama writer
2017年1月生まれの女の子を育てている新米母です。夫は単身赴任なため、フルタイムで働きながら、ワンオペ育児に奮闘しています。育児疲れは仕事で癒し、仕事の疲れは娘の笑顔で癒しながら、毎日を乗り切っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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「AMH」という言葉を聞いたことがありますか?卵巣年齢の指標として注目が集まっていますが、検査結果をどのように理解し、活用すればいいのでしょうか?
今回はAMH検査について一緒に学んでいきましょう。
AMHって何?
AMHで何が分かるの?
AMHとは、抗ミュラー管ホルモンの略語。発育過程にある卵胞(卵子を含んだ細胞の集合体)から分泌されるホルモンです。
AMHは、卵巣予備能(卵巣の中にどれくらいの数の卵が残っているのか)を反映すると考えられています。
かんたんに言えば、卵子の在庫がどれくらいあるかの目安となります。これを分かりやすく「卵巣年齢」と呼んだりもします。
AMH検査ってどういう意味があるの?
女性の卵子はいつ作られるのでしょう?実は、産まれる前、胎児のときから作られています。卵子の個数は、胎生20週をピークに減少していき、新しく作られることはありません。
つまり、卵子の数は、産まれる前から減り続けており、今より増えることはないので、現時点での卵子数の目安を把握しておくことはとても重要です。
卵巣年齢は実年齢と比例するの?
卵巣の中に残っている卵子の数は、ひとりひとり違うので、同じ年齢でも個人差があります。
実年齢は若いけれど卵子は少ない(=AMHが低い)、逆に高齢だけれど卵子は多い(=AMHが高い)ということもありえます。
「まだ若いから卵巣年齢も若いはず」と言い切れない場合があるので、不妊治療を行っている多くの医療機関でAMH検査がすすめられています。
AMH = 妊娠確率ではない
AMHは「妊娠しやすさ」の指標であると勘違いされている方も多いようですが、AMHはあくまでも卵子の数を反映したものです。
「AMHが高いから妊娠しやすい」「低いから妊娠が望めない」とは限りません。
妊娠が成立するには、卵子の数のほか、卵子の質も重要です。AMH値は卵子の質までは反映しません。
あっさりと妊娠した人の中にAMHがとても低い方も一定数いらっしゃいますし、その逆もありえます。
AMH値が低くても、質のいい卵子を持っている方は妊娠する確率が高くなりますので、AMHの結果で一喜一憂しないことが大切です。
AMH検査をするメリットは?
AMHの値が示す意味を取り上げてきましたが、具体的には、検査結果はどのように活用できるのでしょうか?
ライフプランを立てる助けに
妊娠を希望する場合、AMHが低いことを知っていれば、早めの計画や治療が可能となります。
「赤ちゃんはまだ先でいいや」と思っている場合も、男女関わらず、前もって自身の状態を知っておくことは、とても大切です。
不妊治療のステップアップの指標に
AMHが低い場合は、不妊治療専門施設を早めに受診することを勧められる場合が多いようです。治療も、早めに人工授精・体外受精へとステップアップして良いかもしれません。
不妊治療においては時間はとても重要です。35歳以降、妊娠率・流産率は1年ごとに大きく変化しますので、AMHの値を知ることで早めに動くことが可能になります。
治療方針の指標に
AMHは高いほど良いかというと、そうではありません。AMH値が高い場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。
排卵が阻害されて、卵巣内に多数の卵胞がたまっている状態で、月経異常や不妊の原因となります。
体外受精を行う際、排卵誘発剤を使いますが、PCOSの方に強いお薬を使うと、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になり、卵巣が腫れてしまうことがあります。
逆に、AMHの値が低い場合は、強めの刺激方法を選択することもあります。このように、AMHは治療方法の選択の参考にもなります。
AMH検査はどうするの?
血液検査
AMHの血中濃度を血液検査で測ります。AMHは他のホルモンと異なり、月経周期に関係なくいつでも受けることができる検査です。
費用は医療機関によりますが、5000~10000円というところが多いようです。
AMHについて正しく知ろう
最近、「卵子の老化」という言葉がよく聞かれるようになりました。日々作られる精子と違い、卵子は今以上に増えないことが特徴。
自分の卵子の数を知ることで、人生設計のヒントを得ることができます。子供を望んでいる方は、何歳まで不妊治療ができるか、目安も知ることができます。
最近ではブライダルチェックの項目に入るなど、身近な検査となってきています。
しかし、AMH =「妊娠できる確率」「妊娠しやすさ」といった誤った認識をしている方もいるようです。AMHについて正しい知識を持ち、活用していけたらいいですね。
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管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
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