【助産師監修】基礎体温表の見方~高温期・低温期タイプ別妊娠力チェック~
2018.09.27
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊活始めの第一歩は基礎体温をつけること。でも、基礎体温でなにが分かるの?グラフの見方は?と疑問がいっぱいの方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、高温期・低温期のタイプ別に体の状態、妊娠力を解説します。自分の体をよく知って、妊娠しやすい体づくりを始めてみましょう。
妊娠の仕組み~カギは視床下部とホルモンバランスだった!~
妊娠するには多くのホルモンが関わっており、それらがさまざまな臓器にはたらきかけ、妊娠できる状態に体を整えていきます。まずは月経サイクルを通してそれぞれのホルモンのはたらきを学びましょう。
月経期と卵胞期~卵胞ホルモンのはたらき~
まず、脳の視床下部から脳下垂体に指令がくだります。すると、脳下垂体が卵巣の中にある卵胞にはたらきかけ、卵胞が成長し始めます。
成長した卵胞は卵胞ホルモン(エストロゲン・女性ホルモン)を分泌し、それによって子宮内膜が厚くなります。そして卵胞はますます大きくなり、排卵へと向かうのです。
排卵期と黄体期~卵胞ホルモンと黄体ホルモンのはたらき~
卵胞ホルモンの分泌が十分になると、今度は脳下垂体から「排卵しなさい」という指令がくだり、排卵がおこります。
排卵が終了した卵胞は、つぶれて血流が流れ込み、黄体といわれる黄色い脂肪のような塊になります。
黄体は卵胞ホルモンと黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌。これら2つのホルモンが、受精卵が内膜に着床しやすい状況をつくるのです。
女性ホルモンのコントロールセンター、視床下部
主に卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって、女性の体は妊娠できる状態に整えられていきます。そして、それらの分泌量を調整し、ホルモン産生の指令を出しているのが視床下部。
視床下部はいわば、ホルモンのコントロールセンターとなっているわけです。
そしてこの視床下部には自律神経の中枢もあります。そのため、自律神経のバランスが崩れると視床下部も影響を受け、ホルモンバランスの乱れにつながることも。
そのため、心と体のバランスが崩れると、妊娠しやすさにも影響がでてしまうのです。
妊娠しやすいタイプの基礎体温表~高温期と低温期が二相に~
それでは実際に基礎体温表を見てみましょう!基礎体温表の低温期にあたるのが月経期と卵胞期。高温期にあたるのが黄体期です。
低温期の最後に体温が下降するあたりで排卵が起きていると考えられます。そのため基礎体温表をつけると、月経周期や排卵の有無がおおまかにわかるようになります。
理想とされる基礎体温表は高温期と低温期がしっかりと二相に分かれているもの。低温期が12~14日前後続いたあと排卵し、10日以上高温期が続くパターンです。
このタイプの方は、ホルモンのバランスが整っており、体が妊娠しやすい状態になっているといえます。
妊娠しにくいタイプの基礎体温表
では逆に、妊娠しにくいタイプの基礎体温表はどのような形になっているのでしょうか?ここでは6つのタイプ別に解説します。
ただし、基礎体温表はあくまでも判断材料の一つでしかありません。あまり縛られすぎて、逆にストレスにならないように注意してくださいね。
また、心配な場合はきちんと医療機関を受診しましょう。
タイプ1:高温期が短いタイプ
基礎体温の高温期を保ちきれず、高温期が短くなってしまうタイプです。生殖器あるいは子宮が冷えて、血液循環が悪い状態です。
このタイプでは、排卵はある場合とない場合があります。また、卵胞の発育が悪く、排卵があっても黄体の機能不全で着床しにくくなってしまっています。
タイプ2:高温期が途中で下がるタイプ
基礎体温の高温期を保ちきれず、途中で一時的に体温が低下するタイプです。生殖器系・消化器系の機能が低下している状態です。
ストレスで自律神経が乱れていたり、エネルギー不足・血液の栄養分の不足だったりすることが考えられます。
また、高温期を維持するだけの体の熱がないということも。黄体の機能が弱いことや、プロラクチン値が高いことが考えられます。
プロラクチンは出産後に赤ちゃんを育てていくのに必要なホルモンで、授乳中に次の排卵が起こらないよう排卵を抑制するはたらきをもちます。
疲れやすい方や貧血の方に多いタイプです。排卵・妊娠しても、黄体機能不全によって流産しやすくなってしまいます。
タイプ3:高温期への移行に時間がかかるタイプ
通常、基礎体温は1日で低温期から高温期に移行するのに対し、このタイプでは何日もかかっています。排卵日はわかりにくいですが、低温期の終わりごろに排卵していると考えられます。
身体が冷えていたり、一気に高温期に持っていく活力がなかったりする状態です。生殖機能の低下・冷え・ストレス・自律神経の乱れ・血行不良が考えられます。
プロラクチン値が高かったり、排卵が困難だったりする場合に多い基礎体温のタイプです。
タイプ4:基礎体温がガタガタで変動が激しいタイプ
基礎体温の温度差が激しく、全体的にガタガタでキザキザの波形になっているタイプです。これはストレスがかなりたまっている状態です。
生殖機能の低下・冷え・ストレス・自律神経の乱れが考えられます。感情の変動が激しく、情緒が乱れてしまってはいないでしょうか?
プロラクチン値が高い方や、ストレスに弱い方に多いタイプです。
タイプ5:高温期の基礎体温が低いタイプ
高温期と低温期の温度差が、0.3度未満で、高温期の体温が低いタイプです。生殖機能の低下・冷えが考えられます。黄体機能も弱ってしまっています。
タイプ6:低温期が長いタイプ
低温期が長く、生理開始日から排卵するまでに時間がかかるタイプです。長すぎると月経がまれにしかない稀発月経(きはつげっけい)となってしまうことも。
冷えにより血流が悪い状態で、子宮や卵巣の血流が低下、生殖機能も低下しているということが考えられます。
妊娠しやすい体づくり
冷えやホルモンバランスを整える
妊娠しにくいタイプの人は総じて体が冷えていたり、ホルモンバランスが乱れていたりすることが多いです。そんなときにはハーブを生活に取り入れてみましょう。
特におすすめのハーブを紹介します。
シャタバリ
シャタバリはインドのアーユルヴェーダで古くから“受精のためのハーブ”と呼ばれ活用されてきました。
女性特有のホルモンバランスや生理不順を助けるハーブとしても知られ、妊娠準備中から更年期まで幅広い年代の女性に支持されています。
ラズベリーリーフ
昔から子宮への作用があるといわれるラズベリーリーフ。ラズベリーリーフに含まれるフレグナリンという成分が子宮筋の収縮を調整し、子宮を整えてくれます。
ただし、子宮への作用があるため、妊娠初期・中期は飲まないようにしましょう。
ジンジャー
日本でもしょうが湯などでおなじみのジンジャー。生のまま摂ると体の深部の熱を奪ってしまうので逆効果です。
体をぽかぽかに温めるには加熱したものや乾燥させたものを摂るのがおすすめ。内蔵から足先の冷えにまで効果が期待できます。
ゼラニウム
ゼラニウムは、原産である南アフリカを中心に、アフリカ、シリア、オーストラリアなど世界の広い範囲で活用されてきたハーブです。
前向きな気持ちをもたらし、体のめぐりをサポートしてくれるので、心と体のバランスを整えてくれるハーブとして知られています。
ハーブの取り入れ方
手軽な取り入れ方としては、ハーブティーがおすすめ。シャタバリ、ジンジャーがすべて含まれているハーブティーもあります。普段のお茶代わりに飲んでカラダを温めましょう。
体が一番冷えている朝に1杯、さらに月経期・卵胞期は毎日1~2杯、排卵期・黄体期は毎日2~3杯飲むと良いでしょう。
また、アロマを取り入れるのも効果的です。ゼラニウムに加え、緊張や不安をほぐしてくれるマジョラムと、媚薬のような効果があるとされるイランイランが配合されたアロマオイルがおすすめ。
香りは鼻から入って、女性ホルモンのコントロールセンターである視床下部を含む大脳辺縁系にダイレクトにアプローチします。
香りの分子は脳に直接作用するので、心とカラダのバランスを整えるのにとっても効果的です。
いかがでしたか?基礎体温をつけると自分がどのタイプの生理周期かが分かると思います。基礎体温が整っていない場合は、出来る事から少しずつ生活習慣を見直してみてくださいね。
冷えやストレスは妊活に大敵ですので、ハーブティーやアロマを取り入れて、妊娠しやすい体づくり、始めてみませんか?
関連記事:
「体温計を使った基礎体温の正しい測り方とその見方」
「高温期の体温や期間はどれくらい?妊娠した時の高温期は?」
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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