妊娠・出産

【助産師監修】妊娠は奇跡です。赤ちゃんの妊娠から成長、出産までの過程について

2019.03.22

Yoneco Oda

Mama writer

2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

妊娠するということは、とても奇跡的な出来事です。妊娠から出産にいたるまでの間に、お腹の中で赤ちゃんはどのように成長していくのでしょうか。

今回は、妊娠することの奇跡、赤ちゃんのお腹の中での成長から出産までの過程をご紹介します。

赤ちゃんはどう授かるの?妊娠は奇跡の連続!


妊娠とは、卵子が精子と受精して受精卵となり、子宮内に着床して発育していくことを指します。それでは、どのように赤ちゃんを授かり、新しい命が誕生していくのかを見ていきましょう。

卵子の排卵

女性の体内では月に一度の周期で、卵巣の壁を破って1つの卵子が外に飛び出す排卵が起きます。

卵子の大きさは約0.1mm。卵子は卵管の先端にある卵管采(らんかんさい)に受け止められて卵管の中で精子を待ちます。

精子の射精

女性の膣内に精子が射精されると、精子は自ら卵管に向かって1分間に2〜3mmほどの速さで子宮内を進んでいきます。大きさは約0.06mm。

1回の射精で放出される精子の数は、個人差はありますが約2〜3億個にのぼります。

しかし、卵管に着くまでに全体の99%は死滅してしまうため、卵子の前までたどり着けるのは100~200個ほどになります。子宮の中は酸性のため精子にとっては過酷な状況です。

精子は命がけで卵子のもとまで進んでいきます。

受 精

卵子のもとに精子がたどり着き、卵子の膜を破って精子が卵子の中に入ると合体(受精)し、受精卵となります。

一度、受精卵になると受精膜が形成されて他の精子は入れなくなります。多くの場合、1個の卵子につき1個の精子が受精します。

着 床

卵管内で受精した受精卵は細胞分裂を繰り返しながら移動し、約1週間かけて子宮に着床します。子宮に着床すると「妊娠成立」となります。

たった1つの卵子とたった1つの精子が出会い受精卵となることで新しい命は生まれます。

そのためには、排卵と射精のタイミングや卵子、精子の質、子宮内の環境などの条件がそろわなければ実現しません。

卵子が排卵されてから生きられる時間は半日〜1日ほど、精子は3日ほどです。そして、卵子が受精できるベストなタイミングは排卵後の6〜8時間程度といわれています。

また、受精卵に染色体異常や遺伝子異常があると着床ができないことも多いため、実際に着床して妊娠成立となるのは受精卵のうちの約20%といわれています。

卵子と精子が出会い着床するまでには様々なハードルを乗り越えなければならず、妊娠はまさに奇跡と言えますね。

お腹の中での赤ちゃんの成長過程は?


妊娠が成立した後、お腹の中で赤ちゃんはどのように成長していくのでしょうか?妊娠初期・中期・後期に分けて見ていきます。

妊娠初期
妊娠1ヶ月〜4ヶ月(0週〜15週)

妊娠1ヶ月
最終月経の開始日が妊娠0週0日となります。受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。このころはまだ妊娠の自覚症状はありません。

妊娠2ヶ月
普段、生理が規則的にくる人は生理がこないので妊娠に気付き始める時期です。妊娠9週までは赤ちゃんは「胎児」ではなく人間の原型となる「胎芽」と呼ばれます。

赤ちゃんは頭と胴体の区別がつくようになり、2頭身になります。

妊娠3ヶ月
赤ちゃんは心臓、肝臓、胃腸などの内臓器官が次々と作られていき、エコー検査で心音の確認もできます。2頭身から3頭身へと変化していきます。

妊娠4ヶ月
胎盤がほぼ完成して赤ちゃんはへその緒を通して母体から栄養や酸素をもらうようになります。エコー検査では赤ちゃんが少し動く様子が見られることも。

妊娠中期
妊娠5ヶ月〜7ヶ月(16週〜27週)

妊娠5ヶ月
安定期と呼ばれる期間に入ります。赤ちゃんは子宮の中で活発に動き回るようになります。早ければ性別が判断できるようになります。

妊娠6ヶ月
赤ちゃんは羊水を飲み込んでおしっこをするようになります。

これは生まれてからの呼吸の練習です。骨格や筋肉が発達してくるので、動きはますます活発になり胎動を感じ始めます。逆子になることも。

妊娠7ヶ月
脳が急成長するので感覚機能が完成して視覚、聴覚、味覚、嗅覚が発達してきます。お腹の中でも外の世界の光や音に反応しています。ママの声や心音はよく聞こえていますよ。

妊娠後期
妊娠8ヶ月〜10ヶ月(28週〜39週)

妊娠8ヶ月
骨格や臓器はほぼ完成し、見た目は新生児とほとんど変わりません。自然に頭を下向きにした正常位に落ち着きます。

妊娠9ヶ月
肺の機能が成熟して肺呼吸のための準備が整います。体をおおっていた産毛が抜け落ちてピンク色の皮膚になります。皮下脂肪を蓄えてふっくらとした赤ちゃんらしい体つきに。

睡眠の周期が40分サイクルになり、20分くらいで寝たり起きたりを繰り返しています。

妊娠10ヶ月
臨月に入ります。赤ちゃんは4頭身へと変化します。

骨格、内臓、神経などの発育が完成しており、母体から免疫物質をもらっているので病気への抵抗力もあり、いつ産まれても大丈夫な状態です。

出産の時。ついに赤ちゃん誕生へ!!

陣痛は出産が近づいてきているサイン

約10ヶ月間の妊娠期間を経て、いよいよ出産の時を迎えます。赤ちゃんは子宮の中を徐々におりてきて、産道を進み子宮口を通って生まれてきます。

経膣分娩の場合、出産までにかかる平均的な時間は、初産婦は12〜15時間、経産婦は4〜8時間といわれています。

陣痛が10分間隔で規則的にやってくるようになると、出産が近づいてきているサインです。子宮口が開き始めると、赤ちゃんは骨盤の入口へ入っていく準備をします。

横向きの姿勢で骨産道に入り始め、ママの背中の方に顔を向けるように回転しながらおりてきます。子宮口が全開大(約10cm)になると、多くの場合、破水が同時に起こります。

いよいよ出産へ

ここからママはいきみ始めます。お産はママと赤ちゃんの共同作業。ママがいきむことで赤ちゃんは産道を通り抜けて生まれ出てくることができます。

頭が出た後は、再び横向きになって肩が片方ずつ出てきます。そして、羊水や血液とともに全身がスルッと出てきます。ついに赤ちゃん誕生の瞬間です。

外の世界に出ると、赤ちゃんは産声をあげて肺に呼吸が入り自力で呼吸を始めます。赤ちゃんが生まれてから5分くらい後に胎盤がはがれて出てきます。

産院によっては、母子の体調が良ければカンガルーケアをさせてくれることもあります。カンガルーケアについてはバースプランなどで各病院で相談してみてください。


いかがでしたか。妊娠から赤ちゃんの成長過程、出産までをご紹介しました。

妊娠が成立する過程やお腹の中での赤ちゃんの成長、発育の様子を知ることで授かった命をさらに愛おしく感じられるのではないでしょうか。  

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