【助産師監修】妊娠中の受動喫煙。赤ちゃんへの影響は?
2018.11.21
ことまま
Mama writer
2017年1月生まれの女の子を育てている新米母です。夫は単身赴任なため、フルタイムで働きながら、ワンオペ育児に奮闘しています。育児疲れは仕事で癒し、仕事の疲れは娘の笑顔で癒しながら、毎日を乗り切っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
タグをみる
「受動喫煙」という言葉を聞いたことがありますか?妊婦さんご自身が喫煙者でなくても、周囲で喫煙している方がいると、赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまうことが知られています。
この記事ではそんな「受動喫煙」について解説します。
たばこにはどんな害があるの?
妊娠が分かったらたばこをやめよう
ご自身が喫煙者の場合、妊娠をきっかけに「たばこをやめなければ」と思う方が多いようです。実際に喫煙は、妊婦さんにさまざまな悪影響を及ぼします。
妊娠がわかったら、すぐに禁煙してくださいね。
たばこの害とは
そもそも、どうしてたばこを吸ってはいけないのでしょうか?
たばこを吸うことで、どんな人でもがんや脳卒中、心筋梗塞(しんきんこうそく)や呼吸器疾患といった様々な病気のリスクが高くなることがわかっています。
妊娠中のたばこの害とは
妊婦さんはさらに、たばこに含まれる有害物質のために、以下のような危険を負うことになります。
赤ちゃんが低体重児になる
たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用を持っています。
ママがたばこの煙を吸うと、ニコチンの働きで、お腹の赤ちゃんとママを結ぶ胎盤を流れる血液の量が減ってしまいます。
このため、赤ちゃんに十分な酸素や栄養が届かなくなり低体重児の赤ちゃんになってしまいます。
貧血になる
たばこの煙の中には一酸化炭素が含まれています。
血液の中には、酸素を運ぶヘモグロビンというたんぱく質がありますが、一酸化炭素は酸素に比べ、ヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っています。
このため、本来酸素を運ぶはずのヘモグロビンが一酸化炭素と結びついて働けなくなってしまい、母子ともに酸素不足におちいり貧血が進行してしまいます。
乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因になる
たばこに含まれるニコチンやタールなどの有害物質も、胎盤を通じて赤ちゃんに伝わってしまい、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因になるといわれています。
妊婦さんがたばこの煙を吸うことで、流産・早産のリスクが上がります。また胎児が低体重となるリスクも知られています。
受動喫煙って何?
主流煙と副流煙
たばこの煙には、「主流煙」と「副流煙」の2種類があります。「主流煙」は、たばこを吸う人が吐き出す煙のこと。
「副流煙」は、たばこの燃えている部分から直接立ち上る煙のことです。実は、主流煙と比較し、副流煙の方が、数倍~百倍近くもの有害物質を含有しているといわれています。
もうお分かりですね。妊婦さん自身が禁煙していたとしても、となりでたばこを吸う人がいれば、より有害な副流煙を吸ってしまいます。
受動喫煙とは副流煙を自分の意志とは関係なく吸い込んでしまうことです。
妊娠を希望したら家族で禁煙を
妊娠を希望した時点で、家族みんなで禁煙するのがベストな選択といえます。妊娠に気づいていない時点でも、たばこの煙を吸わないに越したことはありません。
また、妊娠中のみならず、産まれてきたお子さんにとっても、受動喫煙による被害は深刻なものとなります。
乳幼児突然死症候群のリスクを上げる他、呼吸器症状(咳、痰、息切れ)や気管支炎、肺炎、中耳炎といった健康被害の原因になることが知られています。
大人にとっても有害なのですから、身体が小さく、感受性の強い子供にとっての害は計り知れません。
受動喫煙だけじゃない!三次喫煙の危険も
受動喫煙のみならず、最近では「三次喫煙」という概念が認識されはじめ、注目を浴びています。三次喫煙は、残留受動喫煙・サードハンドスモークともいわれています。
喫煙をすると、有害物質が身体や床、壁や家具などにも付着します。この有害物質は時間がたつと揮発(きはつ)し、空気を汚していきます。
たとえ、部屋に喫煙者しかいないタイミングで喫煙したとしても、部屋の中には有害物質が残っています。
赤ちゃんは呼吸回数が大人よりも多く、汚染された部屋の空気をたくさん吸っています。
家具やおもちゃを舐めることもありますし、抱っこで密着することでも有害物質が赤ちゃんの体の中に取り込まれてしまうのです。
換気扇の下やベランダで喫煙したとしても、有害物質が身体に付着することは変わらないといわれています。ママだけでなく、「家族みんなで」禁煙することの重要性は明らかなのです。
受動喫煙をしないためには
妊婦さんをとりまくすべての方が禁煙してくれればベストですが、なかなか他人にまで徹底するのは難しいものです。
禁煙・分煙でない飲食店は避ける、喫煙者がいる集まりは欠席するといった対策を、妊婦さんが主体的にとることが必要な場合もあります。
お仕事の接待などで難しい場合もあるかと思いますが、業務を外してもらうなどの配慮を職場で受けられないか、相談してみる価値はあるかと思います。
妊娠中の受動喫煙について解説してきました。いかがでしたか?
受動喫煙についても知識がかなり広まり、妊婦さんを取り巻く喫煙状況は改善しつつあるようですが、「みんなで禁煙」となるとなかなか難しい側面もあるようです。
この記事でとりあげた「三次喫煙」の危険性も含め、もっと理解が広まれば良いなと思います。
妊娠を希望したその時から、赤ちゃんが産まれた後まで、できるだけ早い禁煙が家族みんなで実現できたらいいですね。
関連記事
■体の悩み
-
【医師監修】乳腺炎で発熱!病院に行くべき?症状・原因・対処法も詳しく解説2024.10.08
-
【助産師監修】白斑があっても、授乳して大丈夫? 取り方などを紹介2024.10.08
-
【助産師監修】生後1・2・3ヶ月ごとの授乳間隔・授乳回数の目安は?2024.09.17
カテゴリーランキング
AMOMAコラムについて
妊娠、出産前後はママにとっては初めてのことばかり。「これってあってるのかな?」 「大丈夫かな?」と不安や疑問に思った時につい手に取りたくなるような情報をお届けしたいと考えています。そのため多くの情報は助産師をはじめ専門家の方々に監修。テーマから読めるようになっていますので、ぜひ気になるものから読んでみてください。あなたの不安や疑問が解決できるお手伝いになれば嬉しいです。
AMOMAのパートナー
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
その他のお問い合わせはこちらから
メールで問い合わせ