【助産師監修】妊娠中の貧血の症状は?原因と対策
2018.07.13
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠すると疲れやすくなったり、息切れが起こったりする方もいらっしゃると思いますが、その原因の一つに貧血があります。
妊娠すると貧血になりやすく、後期になるほど悪化する傾向があります。貧血症状がある方はその原因と対策法を知って、出産までに改善させておきましょう。
妊娠による貧血の症状
妊婦の貧血症状
貧血が強くなるにつれ、疲れやすさや息切れ、動悸、めまい、頭痛などの症状が現れます。
また、妊娠が原因で貧血になった方は貧血を自覚できますが、妊娠前から貧血の方はその状態に慣れてしまっており、かなり悪化するまで自覚できないことがあります。
貧血の自覚症状だけでなく、妊娠中の血液検査で貧血を示すヘモグロビンの値を確認し、自分が11g/dl未満の貧血になっていないか意識することが大切です。
赤ちゃんへの影響
赤ちゃんは10ヶ月の間、たくさんの栄養と酸素が必要で、その源は母親の血液です。そのため母親に貧血があると赤ちゃんへの栄養が十分行き渡らない可能性があります。
赤ちゃんには優先的に栄養が運ばれるためすぐに何か起こるわけではありませんが、貧血が強い妊婦さんから生まれた赤ちゃんは低体重児が多いという報告もあります。
赤ちゃんのためにも妊娠初期から貧血対策をする必要があります。
妊娠による貧血の原因
原因1. 血液量の変化によるもの
非妊娠時の女性の血液量は体重50kgの人で4Lくらいありますが、妊娠すると妊娠初期より徐々に増加し、32週頃には最大の約1.5倍、6Lにまで増えます。
ところが、血液成分は全てが同じように増えるわけではなく、赤血球などの血球成分より水分の増加量の方が多いため、実際は薄まった状態となり血液が増加するとともに貧血傾向になりやすいです。
血液量が増えるのは赤ちゃんに必要な栄養と酸素を送るためと、分娩時の出血に備えるためです。
貧血のまま放っておくと体がしんどいばかりでなく、分娩時の出血にも耐えられなくなる可能性あるので、分娩までに改善させておくことが大切です。
原因2. 赤ちゃんを優先させるため
妊娠すると赤ちゃんに酸素や栄養を送るためにたくさんの鉄分が必要になり、赤ちゃんには優先的にママの体の鉄分が使われていきます。
そのため貧血の度合いを示すヘモグロビン値は、妊娠前の正常な女性で12g~15g/dlありますが貧血が強くなると11g/dl未満になり、貧血と診断されます。
10g/dl以下になってくると疲れやすい、だるい、息切れ、動悸など貧血症状が強く出てくるようになるため、いつも横になっていないと辛いなど生活にも支障が出てきます。
妊娠による貧血の対策
ヘム鉄を意識して摂る
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄は非ヘム鉄より体内に吸収されやすいので積極的に摂るとよいでしょう。
ヘム鉄が多い食品は肉や魚などの動物性たんぱく質で、レバー、牛肉、牡蠣、いわし、卵黄、あさりなどです。
つわりで肉類が食べられない方は、卵黄やかつお節、あさりなどあっさりしたヘム鉄の多い食品を摂るとよいでしょう。
鉄分の吸収を促す食品を摂る
例え非ヘム鉄であっても、鉄分の吸収を促すビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ると、鉄分を効果的に吸収することができます。非ヘム鉄を多く含むのはひじきやほうれん草、納豆などの大豆製品です。
たんぱく質を多く含む肉や魚、ビタミンCを多く含むレモンや果汁ジュースを鉄分と一緒に上手く取り入れましょう。
レモン果汁や果汁ジュースはハーブティーにしぼって一緒に飲むとつわりのときでも飲みやすいです。特にハーブティーの中でもネトルが入ったものは鉄分やビタミンCを多く含んでいるのでおすすめです。
また、葉酸やビタミンB12は鉄分を作るのに欠かせない栄養素です。葉酸を必要とする初期には特に意識して摂りたい食品です。ビタミン12は貝類や肉類に、葉酸はほうれん草など葉物野菜に多く含まれています。
鉄分の吸収を妨げるものは避ける
特に非ヘム鉄を摂るときは、コーヒーや緑茶に含まれるタンニンと一緒に摂ると吸収を阻害するので控えましょう。
ひと息つきたいときや食事中でもタンニンを含まないノンカフェインのものを飲むとよいでしょう。
コーヒーが好きな妊婦さんは、ノンカフェインでコーヒー風味のあるたんぽぽコーヒーを試してみても良いかもしれません。
鉄剤を飲む
貧血が進んだ場合は、病院で少なくても2週間の鉄剤処方がされます。指示があったときはきちんと服用して改善させておきましょう。
鉄剤を内服するとムカムカする、便秘になる、便の色が黒くなるなどの副作用もあります。どうしても服用出来ない時はお医者さんに相談して、サプリメントなどで代用しましょう。
貧血対策の基本はバランス
貧血を予防、改善するための方法をお伝えしましたが、基本はバランスのよい食事をとることです。偏った食事や単品ばかりを食べてはいけません。ポイントは鉄分を意識して食材を選ぶことです。
それだけでも積み重ねると貧血が改善されます。貧血はすぐには治らないので、なるべく長く意識して鉄分の多い食事に心がけることが大切です。
その他、妊娠中のマイナートラブルについてお悩みの方はこちらもご覧ください。
「妊娠中の頭痛-原因と対処法-」
「助産師が教える!妊娠中の腰痛-原因と対策-」
「助産師に聞いた!妊娠中の静脈瘤、原因・治療法・予防法」
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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