【助産師監修】妊婦さんの痔(いぼ痔・切れ痔)の対処法
2019.04.19
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠・出産を機に「痔」になる人は全体の半数もいるといわれています。人に言うのも恥ずかしく、ましてや病院に行くのもためらわれる“痔”。密かに、悩んでいるママも多いのではないでしょうか?
今回は、妊婦さんの痔(いぼ痔・切れ痔)の対処法をご紹介します。妊娠中から適切に対処しておけば、産後の痔の悩みが楽になります。
妊婦さんが痔になるのはどうして?
痔とは、肛門疾患の総称で、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)の3種類に分けられます。妊娠中に多く見られるのは、いぼ痔(痔核)と切れ痔(裂肛)です。
いぼ痔
いぼ痔とは
肛門にいぼ状のはれができる事をいぼ痔と言います。いぼ痔には肛門側の外に突出する外痔核、直腸の内側に出来る内痔核があります。
妊娠中には外痔核が多く、指で硬いしこりとして触れ、痛みを伴う場合があります。
いぼ痔の原因
妊娠中は胎児の成長と共に子宮が大きくなるため、直腸周囲の血管を圧迫し、血液の循環が悪くなることで、血管の一部がしこりとなり、いぼ痔になりやすいといわれています。
切れ痔
切れ痔とは
肛門周辺の粘膜が傷ついたり肛門が切れてしまう事を切れ痔と言います。痛みを伴うことが多く、拭いたトイレットペーパーに血が付くことで気づく人もいます。
切れ痔の原因
便秘が原因で太くて硬くなった便の排泄や勢いよく出る下痢などによって、肛門の出口付近が切れることで起こる事が多く、出血と鋭い痛みで切れ痔に気がつきます。
妊婦さんがするべき“痔”の対処法は?
便秘を予防しましょう
便秘は、痔になる大きな原因です。妊娠中はホルモンバランスの変化や子宮が大きくなり腸を圧迫することで便秘になりやすくなります。
便秘にならないためには、決まった時間にトイレに行くことや水分を多く摂ること、食物繊維を多く含む食事を摂ることを心掛けましょう。
妊娠中の便秘については「妊婦さんの便秘-改善方法や対策について-」も参考にしてみてください。
下半身を温めて血行を良くしましょう
妊娠中、仕事をしている妊婦さんも珍しくありません。しかし、長時間のオフィスワークで椅子に座ったままの姿勢だと、肛門に圧力がかかり、血流が悪くなります。
また、特に夏場はシャワーだけで済ます方も多いかもしれませんが、冷房などで身体が冷え切っていますので、半身浴や湯船に浸かり、身体を芯から温め血流をよくしましょう。
お尻周りを温めるだけでも痛みが和らぎ痔の予防になります。
冬場はトイレの空間や便座が冷たいだけでも肛門の筋肉が緊張して便が出にくくなるようです。トイレ暖房器やカバーなどでトイレの中を温かくしておくのも便秘の予防になります。
出産前に痔であることを医師や助産師に相談しましょう
妊娠中から自分が痔であることがわかっている人は、出産前に事前に医師や助産師に伝えておいたり、妊婦検診で内診をする時に診てもらいましょう。産婦人科でも痔のお薬は処方可能です。
またお産の際にいきむタイミングで肛門を抑えて脱肛しないように押さえてくれます。
薬に頼らない!痔の対処法
市販薬や病院でもお薬はもらえますが、妊娠中や授乳中は薬を積極的には使いたくないですよね。そんな時に、カレンデュラオイルを使って自宅で簡単に出来る対処法がありますので、ご紹介します。
【用意するもの】
- カレンデュラオイル
- コットン
コットンにカレンデュラオイルを浸し排便後や入浴後、清潔にした患部(肛門)へ圧迫し塗布します。オイルを浸したコットンをそのままあてておくと、より効果的です。
ただし、オイルが下着についてしまう場合がありますので、ナプキンなどを当てるようにしましょう。1日1~2回を目安に行いましょう。
- カレンデュラオイルは必ず100%天然のものを使いましょう。
- 妊娠~授乳期のママの体はデリケートです。使う前に必ずパッチテストをしましょう。
- カレンデュラオイルを腕の内側に塗る。
- そのまま24~48時間放置し、様子を見る。
- 肌に赤みやかゆみなどの症状が現れたら、テストを中止して流水・石けんで洗い流す。
関連記事:「1本で大活躍♡カレンデュラオイルの効果・効能・使い方」
妊娠・出産はママの体に大きな変化をもたらすと共に、出産に伴う会陰切開や今回ご紹介した痔など、この時期に起きるトラブルがたくさんあります。
そんな時に、自分で気軽にできる対処法を身につけておくと、産後の忙しいときに赤ちゃんを連れてわざわざ病院へ通院、なんてことも少なくなります。
ただし、自分で対処しても改善しない場合や、症状がひどい場合は迷わず専門の病院を受診してくださいね。痔は早期の治療で改善する場合が多いといわれています。
なかなか勇気がいるものですが、女性のお医者様が在籍している病院もありますし、出産してすぐであれば産院でもお薬を処方してくれます。
誰にも言えず我慢するのはストレスの原因にもなってしまいますので、早めの対処を心掛けましょう。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
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