【助産師監修】新生児黄疸とは何か?原因と症状、治療法は?
2018.11.06
なお
Writer / 薬剤師
2015年11月生まれの女の子の母です。職業は薬剤師でただ今育児休業中。優しくて面白いパパに支えられながら、慣れない家事育児に奮闘中です。子どもの成長と休日の家族団らんが今の楽しみ。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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赤ちゃんを出産してから退院するまでの間に、黄疸の数値を測定器で定期的にチェックされる産院が多いかと思います。そして中には「黄疸が出ている」と診断されることがあります。
新生児期に黄疸が出ることは多く、時間が経つと治まっていくものです。
しかし、ごくまれに黄疸の症状が続き、退院してからも治療が必要になり通院する必要がある場合もあります。新生児黄疸について詳しくご紹介します。
新生児黄疸の症状とは
肌が黄色くなる症状
生まれたばかりの赤ちゃんの肌や白目が黄色く見える時期があります。大体生後1週間前後あたりをピークとしてほとんどの赤ちゃんに黄疸の症状がでます。
要するに「黄疸とは肌が黄色くなる症状」のことです。新生児黄疸は病気ではありません。
赤ちゃんの呼吸法の変化
お腹の中にいた時はお母さんの胎盤と赤ちゃんをつなぐへその緒から酸素をもらっていました。それが突然この世に飛び出してきた赤ちゃんは自分の肺で初めて呼吸をし始めることになります。
黄疸が出るのは赤ちゃんが肺呼吸に変化することによって出てくる症状なのです。
新生児黄疸の原因は?
赤血球が過剰になる
黄疸が出るのは肺呼吸になる事が原因とはどういうことでしょうか?
妊娠中、お腹の中にいる赤ちゃん(胎児)は羊水の中でお母さんの胎盤と繋がったへその緒を通じて酸素をもらっています。
肺呼吸とは違い、その方法では酸素を取り込む量が非常に少ないので赤ちゃん(胎児)の体はその環境に適応しようと血液中の酸素の運び屋「赤血球」の量が非常に多くなっているのです。
そして赤血球が少ない酸素を必死にキャッチし赤ちゃんに運びます。
しかし無事に生まれた赤ちゃんが肺呼吸を始めると一気にたくさんの酸素を取り込めるようになるので、酸素の運び屋である沢山の赤血球たちは過剰になって余ってしまうのです。
ビリルビンが増加
肺呼吸になったことで、余った多くの赤血球は不要になり、赤ちゃんの体の中で破壊されていきます。赤血球とは文字通り「赤い」血球で、「ヘモグロビン」という赤い色素を持っています。
赤血球がどんどん破壊されると、赤い色素の「ヘモグロビン」は「ビリルビン」という名前の「黄色い」色素に変化します。
ヘモグロビンが破壊されると今度はビリルビンが増えていくので赤ちゃんの肌が黄色くなります。黄疸をチェックする測定器ではこのビリルビンの量を測っています。
しかしほとんどの黄疸は生理的なもので、次第に治まっていくことがほとんどです。
新生児黄疸の治療法はあるの?
黄疸は次第に治まっていくので何もせずに経過を見守ることがほとんどですが、重症な黄疸の場合は脳への後遺症が残る心配や他の病気が原因の場合も出てきます。
黄疸の出ている時期や、ビリルビンの値を判断材料とし以下のような治療が施されます。
光線療法
赤ちゃんに人工的な紫外線を照射して、血液中のビリルビンを分解し、尿や胆汁から排出しやすくする方法です。
交換輸血
赤ちゃんの体内の血液をすべて入れ替えて交換してしまうという治療法です。少し心配な方法のように思えますが、光線療法に次いで基本となる新生児黄疸の治療法です。
点滴療法
ここでいう点滴療法とは、ガンマグロブリンという体内にも存在する物質を点滴することで、最終的に黄色い色素のビリルビンが作られるのを抑える治療法のことです。
赤ちゃんの症状やビリルビンの値などから総合的に判断されますが、ほとんどの場合、光線療法で治るようです。
ほとんどの赤ちゃんに起こる事
新生児黄疸はほとんどの赤ちゃんに起こる事です。入院中はビリルビン値の検査をして毎日チェックしてもらえるので心配しすぎることはありません。
もし注意が必要であれば病院からその旨を伝えられ、早めに対処してもらえますので安心してください。万が一、退院後に黄疸がまた強くなってくるようであれば産院に相談してくださいね。
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母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
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