出産準備

【助産師監修】無痛分娩とは?リスクや費用について

2018.08.01

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

最近よく知られるようになった無痛分娩、実際はどんな分娩方法かご存知ですか?興味がある方も多いと思いますが、赤ちゃんは大丈夫?どれくらい費用がかかるの?と分からないことが多いと思います。

今回は無痛分娩について、一つの選択肢としてご紹介します。

無痛分娩ってどんなもの?

無痛分娩とは

注射

無痛分娩は腰から麻酔薬を入れることで、陣痛の痛みを和らげて分娩する方法です。

無痛とありますが痛みを全くなくしてしまう方法と、ある程度の痛みと陣痛をコントロールしながら出産する方法の2つがあります。麻酔科医の管理の下、麻酔薬を調整して痛みを緩和させます。

無痛分娩の方法

病院の機器

無痛分娩の開始は、だいたい子宮口が5cmくらいになり陣痛が有効になってきた頃にスタートします。

診察室で横になり、腰から硬膜外にチューブを入れます。そこから持続的に医療用麻薬を注入して、腰周辺の痛みの伝わりをブロックすることで痛みを抑えます。

赤ちゃんの心音管理モニターは産まれるまで装着しておきます。 また、麻酔の影響で陣痛が弱くなってしまうので、陣痛促進剤を持続点滴して陣痛を管理します。

麻酔医の管理があるので予定計画出産になる所が多く、夜中のお産だと対応できる病院は限られます。

無痛分娩のメリット

妊婦と医者

お産は痛い思いをして産むべきという考え方がありますが、無痛分娩にもメリットはあります。

精神的緩和ができる

痛みの不安が強くパニックになってしまうと子宮口がスムーズに開かないことがありますが、痛みを取ることでスムーズに分娩を進めることができます。

高血圧の緩和

痛みで血管が収縮すると血圧が高くなります。妊娠中高血圧があるとさらに高くなるリスクがありますが、硬膜外麻酔をすることで血圧が高くなることを防止できます。

帝王切開にも対応できる

腰から硬膜外麻酔を注入しているので、もし何らかの理由で帝王切開に切り替わったときにそのまま手術に対応することが可能です。

無痛分娩のリスク

分娩台

もちろん薬剤を使用しているのでリスクもあります。

行動が制限される

陣痛促進剤の点滴や赤ちゃんの心音の持続モニターなど色々着けなくてはいけないので自由度が制限されます。 また、部屋も和室などフリースタイルでは対応はできないため分娩室になります。

吸引分娩や鉗子分娩になりやすい

麻酔薬が赤ちゃんに直接影響するということはありませんが、陣痛が弱くなったり痛みがないのでいきむ事ができず、最後に吸引分娩や鉗子分娩という医療介入をする場合が多いです。

吸引分娩は赤ちゃんの頭にカップを装着して引っ張るため、通常分娩より頭血腫(頭蓋骨を覆っている骨膜の一部が剥がれたり血管が破綻してできる血液の塊)ができる可能性が高くなります。

頭血腫は無治療でも大部分が数ヶ月で消失します。

過強陣痛や陣痛が弱くなることがある

陣痛促進剤の点滴を持続的に行いますが、痛みがブロックされているため痛みの感覚と陣痛の強さが比例せず過強陣痛になってしまうことがあります。

これは、陣痛計を装着しながら医療者が管理することで防ぐことができます。

また痛みを取り除く事で陣痛が弱くなり、分娩第2期がすすまずお産が止まってしまい陣痛促進剤を使うなどの医療介入が増えます。

頭痛、嘔吐、神経障害の可能性も

麻酔薬の副作用で頭痛、嘔吐、倦怠感、足のしびれなどの神経障害がある場合もあります。2~3日で治まる人もいますが、1ヶ月ぐらいまで長引く人もいます。

産後の痛み

産後は麻酔がないので、出産時の会陰切開部痛や後陣痛(産後の子宮収縮痛)に強い痛みを感じる人もいます。

無痛分娩はそのメリットもリスクもあります。それぞれを理解しましょう。また、精神的にパニックになりやすい人や高血圧、心臓病など合併症がある人などは無痛分娩の方が安全な場合もあります。

無痛分娩の費用

医療請求書

無痛分娩の費用は病院によって様々ですが、おおむね5万~20万円の追加です。大学病院だと15万程度追加費用がかかる場合があります。

普通分娩だと50万円~65万円程度なので、無痛分娩をすると60万円~70万円程度になります。

基本的には健康保険は使えませんが、吸引分娩や帝王切開など必要な医療介入をおこなった場合は医療保険が使えます。

また、高額医療の申請が可能な場合もあるので入院中に病院の事務に確認しておくとよいでしょう。

無痛分娩の注意点

夜中に陣痛が来た時は?

医者

24時間体勢で無痛分娩に対応してくれるところはまだ少なく、陣痛が夜中にきてしまい朝までに産まれてしまえば無痛分娩はできません。

多くは38週ごろに計画分娩で陣痛が来る前に入院して促進剤を使いながら出産に持っていきます。病院によって対応は様々なので外来や無痛分娩の学級などで説明を受けましょう。

リラックス法を用意しておく

ハーブティー

いくら無痛分娩でも、やはり緊張はするものです。また無痛分娩に対応できなかった場合のことも考えて、分娩中に自分がリラックスできる方法を他にも考えておきましょう。

妊娠中からほっと一息つける時間を1日1回は作るようにすると効果的です。好きなハーブティーで体を温めてもいいですし、アロマなど好きな香りでリラックスするのもよいでしょう。

1日1回力を抜いたり呼吸法を練習することで本番でもスムーズに緊張をほぐすことができます。


無痛分娩は分娩方法の一つの選択肢です。

落ち着いて自分らしいお産にするためにはどうすればよいかを考え、それが無痛分娩ならきちんと説明を受けて理解、納得しパートナーとよく相談して選択してくださいね。

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浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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