ママの心と体

【助産師監修】つらい産後の頭痛!原因と治し方は?

2017.10.16

夏川 ユキ

Writer / 看護師

0歳2歳の姉妹を育てています。看護師ですが育児休業中で、将来はお母さんたちの支えになれるような助産師、もしくは産科の看護師として働きたいと思っています。食事や健康、育児について学ぶのが大好き。アロマやハーブティーに触れる時間が憩いのひとときです。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

産後多くの人を悩ませる頭痛。授乳中は薬も気軽に飲めないし我慢するしかない…そう思っていませんか?

一言に頭痛といっても様々な種類があります。ここでは、特に産後の女性に多くみられる頭痛を大きく2つに分けて対処法と一緒に紹介していきます。

産後に起きる頭痛の種類と原因

普段私たちがいう頭痛の多くは慢性頭痛をさします。大きく片頭痛緊張性頭痛に分け詳しく解説していきます。

片頭痛とは

偏頭痛
片頭痛は頭の血管に異常が起きることによって痛みが生じます。頭の血管が異常に収縮・拡張するときに、感覚神経を刺激して痛みが生じることが原因です。

この現象を引き起こす原因のひとつがセロトニンという物質だといわれています。特に産後は女性ホルモンエストロゲンなどのバランスが不安定な状態で、より頭痛が起こりやすくなります。

また睡眠不足、心身の疲労などもセロトニンの分泌に関与するといわれています。

緊張性頭痛とは

緊張性頭痛

緊張性頭痛は、長時間同じ姿勢やうつむく状態でいることによって、首の後ろの筋肉が緊張し、血液の循環が悪くなり痛みの原因物質が発生します。

また、精神的に緊張が続くことも、首、肩、背中の筋肉の緊張につながり、血液の循環の悪化を引き起こします。

筋肉内に蓄積した物質が痛みの元となり、それが頭痛を引き起こします。そして、この頭痛自体がストレスとなって、さらに痛みも増強してしまうといった悪循環に陥りやすいというのが、緊張性頭痛の特徴です。

片頭痛・緊張性頭痛の症状の見分け方

見分け方

頭痛のタイプにより適切な対処法を紹介していきます。あなたはどちらのタイプでしょうか?

片頭痛は片側の側頭部が心臓の拍動に合わせズキズキと痛むのが特徴です。日常の動作によって頭痛が増強することが多いです。頭痛が始まる前に、片側の視野にキラキラした光が見える前兆がある人もいます。

緊張性頭痛は後頭部から側頭部にかけて締め付けられるような鈍い痛みが特徴です。

片頭痛は冷やして、緊張性頭痛は温めて治す

バスタブ600

片頭痛の場合は温めると血管が拡張して更に痛みが増してしまいます。片頭痛は頭を冷やしたり、こめかみを指圧したりして頭の血管の収縮を促しましょう。

また、先に紹介した原因物質であるセロトニンの過剰分泌の元となる心身の疲労やストレスを軽減することや、ホルモンバランスの乱れを改善し、エストロゲンの分泌の安定を図ることが有効です。

緊張性頭痛の場合は、首や肩の凝りを和らげるようなマッサージや入浴によって筋肉の血流をよくすることが大切です。このとき、身体だけでなく気持ちもリラックスできるとなお効果的です。

産後の頭痛の具体的な治し方

産後の頭痛は辛くても、自分のことは後回しになってつい我慢してしまいますよね。しかし、産後の女性こそケアが必要です。

なぜなら産後の女性はホルモンバランスの乱れ、授乳や抱っこ、育児の緊張からくる肩や首のこわばりなど頭痛がおきやすい要因をたくさん抱えているからです。

マッサージ

肩こり_マッサージ

マッサージオイルを使うと、指を滑らせやすく軽い力で筋肉をもみほぐすことができます。オイルは手のひらになじませて、よくあたためてから使います。大体1回あたり5㏄が目安です。

緊張性頭痛のとき
1. こめかみにオイルを塗ります。中指の腹を使って押します。このとき円を描くように指を動かします。これを数回繰り返していきます。

2. 足の親指につながる骨と人差しにつながる骨の合流点のくぼみを大衝(たいしょう)といいます。このつぼを親指の腹で3秒押して、ゆっくり離します。

肩・首のこりがあるとき
1. 肩から襟足まで、指先に少し力をいれてこすります。

2. こっている部分を、手のひらや指先を使ってもみほぐします。両肩合わせて五分程度おこないます。

ホルモンバランスを整える

産後は授乳のために薬を控えている方も多いと思います。そんなときには、副作用の心配がなく、効果的に心身のバランスを整えてくれるアロマやハーブティーがおすすめです。

アロマ
アロマ_ホルモンバランス

アロマの香りを嗅いだ時、その香り成分は鼻から脳の大脳辺縁系へと伝わります。大脳辺縁系に伝わった信号の判断がそのまま視床下部というところに伝わります。

視床下部は、生命の司令塔の役割を持つといわれており、自律神経系、内分泌系、免疫系に影響を与える場所です。

このように、アロマの香りは人をリラックスさせるだけでなく、身体へもダイレクトに影響を与えるのです。

クラリセージゼラニウムはホルモンバランスを整える作用があるといわれています。

クラリセージはエストロゲンに似た作用をする成分が含まれていて、血行をよくし筋肉のこわばりにも効果的といわれています。

ゼラニウムは安心感を呼び起こし、ストレスを緩和しゆったりとした気持ちにさせてくれます。どちらも鎮痛作用もあるといわれていますので、頭痛にぴったりのアロマですね。

またラベンダーも鎮静作用があり、直接こめかみなどに1滴つけるとレスキューアロマとして使えます。

ハーブティー
ハーブティー

また、ハーブティーは数百年も前から、人々の生活の中にとりいれられていますが、ティータイムを楽しくするだけではありません。ハーブにより心身の不調を穏やかに整えていく効果があります。

レッドクローバーというハーブには、女性ホルモン類の働きを助けるイソフラボンが含まれており、ホルモンバランスを整えてくれます。また、安産で有名なラズベリーリーフも産後の心身の調子を整えてくれます。

アロマもハーブティーも、症状に合わせて利用することも大切ですが、自分自身が好きだと思える香りや味のものを選んでみてくださいね。


毎日頑張るママ、つい自分へのケアが後回しになってしまいますが、簡単にできることから取り入れて、自分を労わってくださいね。

今回は産後の頭痛について紹介しました。いつもと違う頭痛がするときは急を要する病気の疑いもあるので医療機関で診てもらうようにしましょう。

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浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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