【助産師監修】産後の抜け毛はいつまで?原因と対策
2019.02.18
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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産後、抜け毛が多くなったという方は多いと思います。お風呂に入るたびに、排水溝にたくさん髪の毛が抜けているとショックですよね。
実は、この抜け毛には産後ならではの原因があります。今回は、産後に抜け毛が多くなる原因とその対策についてお話しします。
産後の抜け毛の原因
女性ホルモンの影響
女性ホルモンは、髪の毛の成長を促す働きと、髪の毛の成長期間を持続させる働きがあります。さらに髪の毛のつやを出すコラーゲンの合成にも関わっています。
妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンが高い状態が続くため、髪の毛が濃くなりつやつやしていることが多いです。
ところが、出産後は女性ホルモンが急激に低下、バランスが崩れることで抜け毛が増えてしまうのです。
栄養の不足
産後は自分の体の回復だけでなく、赤ちゃんへの授乳もおこなわなくてはならないため、毎日忙しく、食事を簡単に済ませてしまう日も多くなります。
そうすると髪の毛の栄養まで回らず、回復が遅れることがあります。
環境の変化によるストレス
髪の毛は生活スタイルの乱れや、ストレスが反映されやすい部分です。
産後、赤ちゃんへのお世話など、あらゆる環境の変化でストレスが溜まっていたり、夜中の授乳で寝不足が続いていたりすると抜け毛が増える原因になってしまいます。
産後の抜け毛はいつまで?
髪の毛のサイクル
髪の毛には成長期、退行期、休止期というサイクルがあります。
<成長期>
4年~6年かけて成長し伸びていきます。1日で0.3~0.5mm、1ヶ月で1.2cm、1年では15cm伸びます。女性ホルモンが活発だと成長期が長くなり、髪の毛は長く、太くなります。
<退行期>
髪の毛は一定の長さまで成長すると成長が止まります。期間は2~3週間です。
<休止期>
成長が止まった髪の毛は、新しい髪の毛に押し出されて、毛根が徐々に浅くなり抜けていきます。期間は数ヶ月です。
日本人の平均的な髪の量は約10万本で、だいたい毎日50本~100本程度の抜け毛がありますが、サイクルに合わせてどんどん髪の毛が生えてくるので、普段は薄く感じることはありません。
産後の髪の毛のサイクル
ところが、産後は女性ホルモンの低下や乱れで成長期が数ヶ月~1年しかない場合があります。髪の毛のサイクルが短くなると、どんどん抜け毛が増え、髪の毛が薄くなったように感じてしまうのです。
抜け毛の回復は産後1年が目安
産後、急激に低下した女性ホルモンは少しずつ回復していきますが、授乳をしていると女性ホルモンが低い状態が続いてしまいます。
母乳を出すプロラクチンというホルモンが、女性ホルモンを抑制するからです。
そのため、産後に抜け毛が回復するのは、授乳回数が減る産後1年くらいを目安に考えるとよいでしょう。
抜け毛対策:食事
産後は、なかなか自分の食事に目が行かず簡単なもので済ませがちですが、太くつやのある髪の毛を回復させるためには、バランスのよい食事を摂ることが一番大切です。
たんぱく質
髪の毛はほとんどがたんぱく質で作られているため、意識して摂ると質のいい髪の毛が育ちます。
動物性のたんぱく質と植物性のたんぱく質をバランスよく摂取することがよいですが、特に大豆や納豆に多い植物性のたんぱく質が髪の毛には有効です。
亜鉛
亜鉛は、たんぱく質とともに髪の毛を作り出す欠かせない栄養素です。
亜鉛を多く含む食べものは、かき、レバー、うなぎ、カシューナッツ、アーモンド、たらこ、ほたてなどです。間食にカシューナッツやアーモンドを食べると手軽ですね。
カルシウム
カルシウムが不足すると脳の神経細胞の働きが悪くなり、髪の生成がスムーズにいかなくなるため脱毛の原因になります。
カルシウムは乳製品や小魚に多く含まれていますが、授乳中は乳製品を摂り過ぎると母乳の分泌が増え、つまりやすくなるので適度に摂取するようにしましょう。
ビタミンとミネラル
ビタミンには、老化防止や血流改善の効果があり、特に髪の毛によいとされるのは、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンEです。また、ミネラルには、髪の毛を潤す効果があるとされています。
ビタミンB2を多く含むのは、焼き海苔、わかめ、納豆、うずらの卵など、ビタミンB6を多く含む食べ物はまぐろ、かつお、ごま、ピスタチオなどです。
ビタミンEは、ナッツやゴマ、植物性の油などに多く含まれます。ミネラルを多く含むのはわかめや昆布などの海藻類です。これらの食材をできるだけ種類を多く、バランスよく食べるようにしましょう。
抜け毛対策:生活
ヘアケア
髪の毛が抜けやすいとシャンプーを軽めにしたりブラッシングも控えたりしますが、これは逆効果です。
地肌ケアが出来るシャンプー剤を使う、トリートメントもこまめに使用する、乾かす前にヘアオイルなどを使って栄養を与えましょう。
時間が取れるようなら、たまには自分へのご褒美にヘッドスパで心身共にリラックスするのもよいでしょう。
ストレス
ストレスは抜け毛にとっては大敵です。育児のストレスや抜け毛のストレスを常に感じていると、抜け毛がさらに悪化してしまいます。
育児中の抜け毛は一時的と割り切って考えるようにしましょう。また、日頃のストレス対策も少しずつできるようにしていくとよいでしょう。
ゆっくりハーブティーを飲んだり、たまには赤ちゃんを預けてお出かけしたりするのもいいかもしれません。
生活リズム
赤ちゃんの授乳が夜間もある場合は、どうしても睡眠時間が短くなりリズムが乱れがちです。昼寝や休憩をたっぷり挟みましょう。
また、離乳食が順調に進んできたら、ママも赤ちゃんも毎日のスケジュールを同じにして、早寝早起きに心がけるようにしましょう。
産後の抜け毛は一時的で、生理的なものです。産後1年の時間をかけて、女性ホルモンが戻れば、抜け毛は回復します。それまでゆっくり過ごし、あまり深刻に考えすぎないようにすることが大切です。
また、産後1年を通して、生活リズムや食生活の改善など、髪の毛にとってよい生活を取り戻していきましょう。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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