ママの心と体

【助産師監修】マタニティブルー・産後うつの症状  

2018.06.29

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

産後落ち込む日が続いている・理由もなく悲しい…なんてことはありませんか?もしかしたらマタニティブルーか、産後うつかもしれません。

マタニティブルーと産後うつって何が違うの?という方に、その違いをお伝えします。

マタニティブルー(マタニティーブルー)とは

マタニティブルー

マタニティブルー(マタニティーブルー)は分娩直後から産後7~10日以内にみられ,主に2~4日を発症のピークとする一過性の急激な感情の動きのことを意味します。

産褥期の女性の50%~80%が経験します。

出産による身体的・精神的負担や、待ち構える育児への不安などが軽度のうつ状態を引き起こします。これには、出産後のホルモンバランスの変化が影響しています。

マタニティブルーの症状

マタニテイブルー

マタニティブルーの症状には、以下にあげるようなものがみられます。

・突然、悲しい気持ちになる
・訳もなく涙が出る
・不安で眠れなくなる
・やる気がでない

マタニティブルー症状チェック

厚生省研究班によって示された診断基準で、マタニティブルーの症状に当てはまるかチェックしてみましょう。

A.
以下の2項目の両方を呈する状態が,出産後でかつ5日までに発症し,産後2週間未満で消失する
1)特別な状況と関連なく泣きたくなったり,実際に(数分間)泣くなどの涙もろさ
2)抑うつ感

B.
以下の症状のうち少なくとも2項目を満たす
1)不安(過度の心配)
2)緊張感
3)落ち着きのなさ
4)疲労感
5)食欲不振
6)集中困難

マタニティブルーの原因

マタニティブルー

ホルモンバランスの変化

出産して胎盤が排出されると、今までホルモンの多くを占めていたエストロゲンとプロゲステロンが大きく低下します。

また、赤ちゃんが母乳を吸う事によってプロラクチンという「母乳分泌ホルモン」が分泌されます。

産後のママは、このようなホルモンバランスの大きな変化によって、マタニティブルーになります。

マタニティブルーの乗り越え方

マタニティブルー

マタニティブルーの症状は、産後1週間を過ぎると次第に消えていきますので、投薬治療などは必要ありません。

無理に明るく振る舞おうとしたり、頑張らなくても大丈夫です。マタニティブルーを理解し、うまく自分をリラックスさせてあげることで、産後うつの予防にも繋がります。

産後はちょっとした言葉でも傷つきやすいものです。「おっぱいは出ているの?」「赤ちゃん黄疸があるんじゃない?」など周囲の言動も気を付けたいものです。

母性愛が出ていて、お母さんになる為の通過点と思っておくと、気分が楽になります。

理由もなく悲しい時や、なんだか不安…という時は、信頼できる周りの人、助産師・かかりつけの医師などにモヤモヤした気持ちを相談してみると良いでしょう。

アロマを利用してリラックスするのもオススメです。

アロマの効果

マタニティブルー

鼻から取り入れられた香り成分は直接、脳の中心・大脳辺縁系に伝わります。

悲しみやイライラなど喜怒哀楽の感情は、大脳辺縁系と深い関係があるので、アロマは感情をコントロールしづらい産後ママにおすすめです。

※使用するときは、100%植物性のものかどうか確認しましょう。

ただし、マタニティブルーの症状が産後1ヶ月以上続いている場合は産後うつかもしれないので、早めに産婦人科を受診しましょう。

産後うつとは

マタニティブルー

米国精神科学会の診断基準では,産後4週以内でその症状が認められるものを産後うつ病としています。産褥精神病という病気の一つです。

妊娠以外の時期にみられるうつ病と同じく、症状の奥深くには強い抑うつ感情があります。

抑うつ感情は、育児への不安・家事への不満・子どもの成長についての過剰な心配・母親としての自信喪失など…様々です。

治療法としては、精神療法・薬による治療が行われます。育児ストレスから休息をとるために、入院をすすめられることもあります。

産後うつ病も、うつ病と同じく早期に治療を始めることがとても大切です。

産後うつの症状

マタニティブルー

産後うつの症状の例を紹介します。

・自分は母親としての役割が果たせていないと思う
・赤ちゃんの発育が異常なまでに心配
・育児書通りにいかないと、自分の育て方や赤ちゃんがおかしいのではないかと感じる
・将来に希望や夢を感じなくなった
・赤ちゃんに愛情を感じない
・旦那さんに愛情を感じない
・赤ちゃんが泣いていても、長時間ほうっておく
・頭痛や体がだるくて、ヤル気がでない

これらの感情は、もともと産褥期の女性が抱きやすいものです。産後1ヶ月をリラックスして過ごすことが、産後うつの予防につながります。

産後の生活―産褥期の過ごし方―も参考にしてみてくださいね。

産後うつチェック

以下は、欧米で開発された「エジンバラ産後うつ病質問票」です。

1~10の質問に答え、( )の中の合計数が9点以上になった場合は、産後うつの可能性があります。早めに産婦人科を受診しましょう。

1.笑うことができるし、物事のおかしい面もわかる
(0)いつもと同様にできた
(1)あまりできなかった
(2)明らかにできなかった
(3)まったくできなかった

2.物事を楽しみにして待った
(0)いつもと同様にできた
(1)あまりできなかった
(2)明らかにできなかった
(3)まったくできなかった

3.物事がうまくいかなかったとき,自分を不必要に責めた
(3)はい、たいていそうだった
(2)はい、ときどきそうだった
(1)いいえ、あまりたびたびではない
(0)いいえ、そうではなかった

4.はっきりとした理由もないのに不安になったり,心配した
(0)いいえ、そうではなかった
(1)ほとんどそうではなかった
(2)はい、ときどきあった
(3)はい、しょっちゅうあった

5.はっきりした理由もないのに恐怖に襲われた
(3)はい,しょっちゅうあった
(2)はい,ときどきあった
(1)いいえ,めったになかった
(0)いいえ,まったくなかった

6.することがたくさんあって大変だった
(3)はい,たいてい対処できなかった
(2)はい,いつものようにはうまく対処しなかった
(1)いいえ,たいていうまく対処した
(0)いいえ,普段通りに対処した

7.不幸せなので、眠りにくかった
(3)はい、ほとんどいつもそうだった
(2)はい、ときどきそうだった
(1)いいえ、あまりたびたびではなかった
(0)いいえ、まったくなかった

8.悲しくなったり,惨めになった
(3)はい、たいていそうだった
(2)はい、かなりしばしばそうだった
(1)いいえ、あまりたびたびではなかった
(0)いいえ、まったくそうではなかった

9.不幸せなので、泣けてきた
(3)はい、たいていそうだった
(2)はい、かなりしばしばそうだった
(1)ほんのときどきあった
(0)いい、まったくそうではなかった

10.自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた
(3)はい。かなりしばしばそうだった
(2)ときどきそうだった
(1)めったになかった
(0)まったくなかった

産後うつは産褥精神病というれっきとした病気なので、無理に自分で対処しようとせず、早めに心療内科やメンタルクリニックを受診しましょう。

早めに治療を始めることで、回復スピードも速まります。





産後うつ・マタニティブルーは自分では気がつかないこともあります。また、発症してしまった時は、家族や身近な人のサポートが欠かせません。

周りの人に、マタニティブルーや産後うつの症状などを、事前に伝えておきましょう。

関連記事:「つらい産後うつ―その原因、症状、対策は?―」

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助産師/商品開発パートナー
浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
■専門分野
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士
にしだかなこ
■資格・免許
管理栄養士・幼児食アドバイザー
■専門分野
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
心理カウンセラー
佐々木明子
■資格・免許
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
■専門分野
心理カウンセラー
産婦人科医
牛丸敬祥
■資格・免許
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
■専門分野
産婦人科医

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