赤ちゃんの心と体

【助産師監修】スマホ育児とは?メリットやデメリットについて

2019.07.16

Yoneco Oda

Mama writer

2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

最近よく耳にするようになった「スマホ育児」。ここ10年の間に急速に普及したスマホを日常的に使用されているママ・パパも多いのではないでしょうか?

スマホ育児はいいものなのか?悪いものなのか?また、どこまでの使用なら大丈夫なのか?気になるところですね。

今回はスマホ育児とはどういうものか?メリットやデメリットにについてご紹介します。

スマホ育児とはどういうもの?

スマホ育児とは、スマートフォンやタブレット型端末を育児に利用することです。スマホ子守スマホ子育てと呼ばれることもあります。

具体的には、育児やしつけ用のアプリを利用すること、子供に端末を持たせて遊ばせておくこと、広い意味では、親がスマホを操作しながら育児をすることも含まれます。

スマホが日常に欠かせない便利なツールとなり、広く普及したことでスマホ育児を行うママ・パパは増加してきています。

スマホ育児のメリットは?

スマホを子育てに活用するメリットを挙げてみました。

ママ・パパの育児の負担を減らせる

今は静かにして欲しい・・・という場面で子供がぐずり始めてなだめるのに苦労したという経験は、ママ・パパなら誰しもあるのではないでしょうか。

家事で手が離せない時、電車やバスなどの乗り物でや公共の場で子供がぐずって騒ぎ出した時にスマホを渡しておけば、すぐにおとなしくなり静かに遊んでくれます。

ママ・パパにとっては育児にかける時間を短縮でき、周囲にも気を遣わなくて済むので負担が減ります。

知育、勉強に使える

スマホのアプリには、赤ちゃんや子どものための知育や学習に役立つアプリが多種多様に存在しています。

高額な知育専用の教材やおもちゃを購入しなくても、スマホ1つで知育、学習を手軽に実践することができます。

知育アプリは赤ちゃんが興味を持つように作られていますので、ゲーム感覚で遊びながら学べて取り組ませやすいといわれています。

荷物が減らせる

赤ちゃんの健康状態や予防接種の記録、日程など、赤ちゃんの情報を管理するアプリもあります。

スマホを持っていればお出かけのたびに母子手帳を持ち歩かなくて済みます。

また、外出先で赤ちゃんがぐずったり機嫌が悪くなることも。

そんな時、赤ちゃんが好きなアプリをスマホに入れておけば、お気に入りのおもちゃを持ち歩かなくていいので荷物が減らせて身軽になりますね。

スマホ育児のデメリットは?

「スマホは便利で手軽、子供にもねだられるからついつい見せてしまう。でも、スマホ育児は子供の成長に悪い影響が出ないか心配・・・。」

こんなふうに不安に思うママ・パパも少なくありません。

日本小児科医会では「スマホに子守をさせないで!」のキャッチフレーズで、スマホ育児への注意を呼びかけています。

子育てでのスマホ使用は、運動不足・睡眠不足・コミュニケーション能力の低下など様々な悪影響がもたらされる可能性があるといわれています。

世間でもスマホ育児に対する批判的な意見も多く、後ろめたい思いを持ちながらスマホ育児をしている方もいるかもしれません。

具体的にはどのようなデメリットがあるのかを"ママ・パパがスマホを使用する場合"と"乳幼児がスマホを使用する場合"に分けてご紹介します。


ママ・パパが使用するデメリット

●赤ちゃんの表情が乏しくなる
ママ・パパがスマホに夢中になって赤ちゃんの方を見なくなると、赤ちゃんは「自分には興味がないのだ。」と諦めて欲求を伝えることを止めてしまいます。

そのため、喜怒哀楽の感情表現が極端に少なくなり赤ちゃんの表情が乏しくなります。

本能的におとなしくしていることで、親の関心をひこうとしているともいわれています。

赤ちゃんはママ・パパに関心を持ってもらい、応えてもらうことで自分の欲求が満たされることを学んでいきます。

子供の欲求に親が反応してコミュニケーションをとることは、赤ちゃんの健やかな成長や親子関係を築く上で欠かせないことです。

●育児放棄(ネグレクト)のリスクが高まる
スマホの使用が短時間の息抜き程度なら問題はありませんが、親がスマホに依存して育児よりもスマホを優先させるようになってしまうケースもあります。

そうなると、赤ちゃんのお世話をせずに放置してしまう育児放棄(ネグレクト)につながってしまうリスクが高まります。

育児放棄というと極端な例に聞こえますが、近頃ではスマホに気を取られて子供への対応がおろそかになることを「スマホネグレクト」と呼ぶようになってきています。

<スマホネグレクトの一例>
・親がスマホをしているところに子供が話しかけてきても、顔を見ずに生返事をする
・子供の欲しがるものをスマホを使って検索していると、子供が甘えてくるので「あなたのために探しているのに、なんで邪魔するの!」と怒鳴ってしまうなど

このように、親が自覚しないまま進んでしまう危険性があります。

乳幼児期の育児放棄は子供が周囲の人に愛着を感じられない「愛着障害」を招く恐れがあります。

愛着障害が起きると社会性や共感性の発達に問題が起きて人間関係や社会生活に大きな影響を与えてしまう可能性があります。


乳幼児が使用するデメリット

●視力への影響
乳幼児期は子供の視覚が発達する大切な時期です。この時期に長時間スマホを見続けると、視力の低下を招きやすくなります。

目は遠くのものを見るよりも近くのものを見る方が負担がかかりやすいといわれています。

子供がスマホを見る時は30センチ以上は離して見せるようにし、1回に見せる時間は15分程度にしましょう。

子供は目の疲れに気付きにくいので、スマホを渡しっぱなしにせず、必ず大人がスマホを見る距離、時間を管理するようにしましょう。



●生活リズムが乱れてしまう
就寝前にスマホを見続けてしまうと、スマホのブルーライトを浴びることで目が冴えて寝つきが悪くなり睡眠不足の原因になってしまいます。

赤ちゃんの成長にとって一定時間熟睡することは大人よりも大切です。睡眠のバランスが崩れると成長ホルモンの分泌に影響が出てしまいます。

朝早く起きることができない、午前中にぼんやりして活動ができないなどの生活リズムの乱れにもつながります。

●コミュニケーション能力が育ちにくい
スマホは夢中になりやすく、子供はスマホを手にすると、ずっとスマホで遊び続けてしまいます。

スマホを見ている時間が長ければ長い分、周囲とのコミュニケーションや関わりが減ってしまいます。

子供の健全な発達のためには、親との会話、スキンシップ、友達と遊ぶことがとても大切です。

親子の触れ合いが減ってしまうと、子供の言葉の発達や親子間の情緒的な関係が不十分なまま育ってしまいます。

その結果、その後の周囲との人間関係、親子関係にも影響が出る可能性があります。


乳幼児がいる家庭でのスマホの使い方

スマホ育児にはメリット、デメリットがあり一概に良い、悪いとは言えません。

では、育児にスマホを利用する場合、家庭ではどのように使っていけばいいのでしょうか?

●見る時間を決める、区切る
スマホの1日の使用時間を決めて、連続して長時間見ないようにしましょう。おおよその目安は「2歳以上は2時間まで」。

それ以下の年齢は「1回15分程度にして、1日に2・3回まで」と時間を区切って見せるようにするといいといわれています。

時間を守る約束をすることは、ルールを守る教育にもなります。

見終わったあとは目を休ませたり、体を動かす遊びをするなどをしてスマホから離れる習慣をつけるといいですよ。

●親子一緒にスマホを見る
子供1人でスマホを使うのでなく、スマホの使用前に見る内容を親子で選んだり、一緒にスマホを見ましょう。

見る内容を選んでおけば安心できますし、一緒に見ることで子供がどう感じているかを知ることができます。

また、同じ時間を共有できるので親子のコミュニケーションも図れます。スマホを親子のコミュニケーションをとるための道具として活用してみましょう。

●子供の前でスマホを使い過ぎない
子供は親の背中を見て育つといわれています。親が頻繁にスマホをいじっていると子供もスマホへの関心が強くなってしまいます。

できるだけ子供の前でのスマホの使用は避けるようにしましょう。

スマホ育児が良いか悪いかということが議論されがちですが、スマホというツールとどう付き合っていくかを考えることが大切なことではないでしょうか。

スマホの持つメリットとデメリットを理解して、育児にスマホを使うのか、使うのなら育児にどのように活用していくかを家庭で話し合うことをおすすめします。

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