【助産師監修】赤ちゃん・新生児をスムーズに寝かしつける方法
2019.05.28
監修 浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。オールアバウトでも執筆中。
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
タグをみる
どんなにあやしても赤ちゃんがなかなか寝てくれない、やっと寝かしつけたのにベッドに置いた途端に泣き出してしまう…。こんな悩みを多くのママが一度は経験していることでしょう。
赤ちゃんが寝てくれないと、精神的にとても辛いですよね。今回はそんなママ達に、赤ちゃんや新生児がなぜ寝てくれないのかという理由と、赤ちゃんをスムーズに寝かしつける方法をご紹介します!
赤ちゃん・新生児が寝ない理由
赤ちゃんの寝かしつけに手間取ると、「なぜ寝てくれないの?」とついイライラしてしまいますが、その理由がわかれば少しは気持ちが楽になるのではないでしょうか。
赤ちゃんが寝ない理由には、実は赤ちゃんの睡眠リズムやホルモン分泌が深く関係しています。
睡眠リズムが未発達
私たち人間の「夜に寝て、朝に起きる」という睡眠リズムを作り出しているのは「体内時計」です。
体内時計には24時間+4時間前後のずれがありますが、太陽の光を浴びることによって人間の1日のリズムは24時間に整うといわれています。
生まれたばかりの新生児や赤ちゃんは、この体内時計がまだうまく働いていません。赤ちゃんの体内時計が完成されるまでの3つの期間をご紹介します。
ウルトラディアンリズム
昼夜の区別がつかない生後1ヶ月頃までを、「ウルトラディアンリズム」と呼びます。胎児の時の環境が長引く時間なので、昼間ぐっすり夜は目がらんらんする事も。
夜なかなか寝なかったり、目覚めてしまったりするのもこのためです。
フリーラン
生後2~3ヶ月頃まではフリーランという期間です。先述したように、体内時計は24時間±4時間前後の差があります。
体内時計をつくりあげている段階の赤ちゃんは、太陽の光を浴びていても体内時計がリセットされず、眠る時間が太陽の時間とずれてしまいます。
夜遅くまで寝なかったり、朝遅くに目覚めたり、といったことがおきますが、赤ちゃんの体内では、徐々に体内時計が整い始めています。
サーカディアン
生後3~4ヶ月になると、赤ちゃんの体内時計が整います。この時期をサーカディアンリズムと呼び、赤ちゃんの眠りのリズムも安定するので、ママも寝かしつけがスムーズになってきます。
なかなか寝てくれない裏側には、赤ちゃんが一生懸命外の世界に慣れようとしている事情があったのですね。
赤ちゃんは眠りが浅い
赤ちゃんは大人と比べて眠りが浅いです。大人は、深い眠りであるノンレム睡眠と、浅い眠りであるレム睡眠を90分周期で繰り返しています。
これに対して、新生児は40~50分周期と短く、生後3ヶ月でやっと50~60分周期になります。
また、1歳半までは浅い眠りであるレム睡眠が全体の眠りの50%を占め、2歳になって大人と同じ20~25%までレム睡眠が減少します。
メラトニン分泌のタイミングがずれている
メラトニンは、睡眠ホルモンとも呼ばれるホルモンです。脳の松果(しょうか)体という所から分泌され、体内時計に働きかけて自然な眠りへと導いてくれます。
メラトニンは朝太陽の光を浴びてから14~16時間後に最も分泌されます。光によって分泌が調整され、夜間は分泌が上昇し、昼間は減少しています。
朝7時に起こすと、21~23時に分泌のピークがくることになります。できるだけ朝は7時までに起こし、就寝の30分前にはお風呂や着替えをすませ、部屋の明かりを落としましょう。
朝遅くまで寝かせていたり、毎朝バラバラの時間に起こすと、正しい時間にメラトニンが分泌されず、夜寝つきにくくなる原因になります。
寝かしつけの方法
赤ちゃんがなかなか眠れない事情を知ったうえで、ママ達は一体どのように赤ちゃんを寝かしつければ良いのでしょうか。
寝返り前の時期は腹ばいをして、背筋を使い疲れさせる事も大事です。ずっと仰向けで授乳とおむつ交換で一日が過ぎると、動きたい欲求で泣きが強くなります。
またいつまでもベビーバスでいれているより、大人と同じお風呂に入れてあげるとお湯の量が多いので疲れて寝やすいといわれています。
赤ちゃんの睡眠リズムを整えること、つまり毎日決まった時間に寝かしつけ、決まった時間に起こすことが最も大切です。また、赤ちゃんが眠る習慣を、ママが意識的につくることも効果的です。
これは別名「入眠儀式」。入眠儀式の方法をご紹介します。
入眠儀式の方法
赤ちゃんが落ち着く環境をつくる
赤ちゃんは眠りが浅く、快・不快に敏感なので、少しの物音や光ですぐに起きてしまいます。明るい電気・TVの音・人の声などを避け、赤ちゃんとママがゆっくりリラックスできる空間を作ります。
落ち着いた空間を作り出したら、入眠儀式スタートです。最初は色々な方法を試してみて、効果があった方法を2~3週間続けましょう。
赤ちゃんにとって、「これが眠る時間なんだ…」と身体で覚えてもらうことが大切です。続けていると、次第に目覚めの回数や、まとまった眠りの増加を実感できるようになるでしょう。
おすすめの入眠儀式をご紹介します。
安眠グッズを持たせる
ぬいぐるみやタオルケットなど、眠るときに赤ちゃんが一緒に過ごすものを作りましょう。それらのグッズが赤ちゃんに安心感をもたらし、リラックス効果を高めます。
最近は、胎内音やヒーリングミュージックが内蔵されたぬいぐるみもあり、より効果が期待できます。
音楽やアロマを利用する
安眠効果のあるCDや、リラックスできるアロマを室内で利用してみましょう。
CDは聴覚から、アロマは嗅覚や呼吸器から赤ちゃんに作用して、リラックスさせてくれます。
マッサージをする
赤ちゃんにも使える低刺激のマッサージオイルを使って、赤ちゃんを優しく撫でるようにマッサージしてあげましょう。
ママに触れられることで、赤ちゃんには幸福ホルモンと呼ばれる「エンドルフィン」というホルモンが分泌されます。心が満たされ、リラックスすることができます。
「ベビーマッサージはいつから始める?~効果とやり方~」を参考にしてみて下さいね。
赤ちゃんに夜眠るのは楽しい事、という意識を持ってもらうことが、成長してからの早寝や安眠にもつながります。
赤ちゃんや新生児の夜泣きがひどい場合は、「夜泣きはいつから?夜泣きの原因と対策まとめ」をご参照ください。
赤ちゃんはママの感情を敏感に感じ取るので、ママもリラックスしながら、入眠儀式を行いましょう。
関連記事
■体の悩み
-
【医師監修】乳腺炎で発熱!病院に行くべき?症状・原因・対処法も詳しく解説2024.10.08
-
【助産師監修】白斑があっても、授乳して大丈夫? 取り方などを紹介2024.10.08
-
【助産師監修】生後1・2・3ヶ月ごとの授乳間隔・授乳回数の目安は?2024.09.17
カテゴリーランキング
AMOMAコラムについて
妊娠、出産前後はママにとっては初めてのことばかり。「これってあってるのかな?」 「大丈夫かな?」と不安や疑問に思った時につい手に取りたくなるような情報をお届けしたいと考えています。そのため多くの情報は助産師をはじめ専門家の方々に監修。テーマから読めるようになっていますので、ぜひ気になるものから読んでみてください。あなたの不安や疑問が解決できるお手伝いになれば嬉しいです。
AMOMAのパートナー
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
その他のお問い合わせはこちらから
メールで問い合わせ