【助産師監修】なんとかしたい!授乳中のつまり・しこり
2018.03.16
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
タグをみる
せっかく順調に母乳が出るようになったのに、つまって痛みが出てきてしまったり、しこりができてしまったり・・・
つまりやしこりは授乳中によくあるトラブルの一つです。今回は授乳中のつまりやしこりについてご紹介していきます。
授乳中のつまりやしこりはなぜ起こる?
母乳は血液から作られます。ママが食べたものが血液となり、母乳を作り出す乳腺葉という組織に運ばれます。
乳腺葉で作られた母乳は、乳房全体に張り巡らされている乳管を通り、乳頭、そして赤ちゃんの口へと運ばれていきます。
乳管や乳腺の一部がつまってしまうことにより、母乳が出きらず残ってしまい、乳房の一部にしこりができることがあります。これをうつ乳といいます。
さらに炎症を起こすと、乳腺炎になってしまうおそれもあるので、油断は禁物です。母乳のつまりやしこりは、いくつかの原因が考えられています。
ママの乳房の形や体質
ママの乳房の形、特に母乳の出口である乳頭が、陥没していたり扁平だったりすると、出口が塞がっていて赤ちゃんにとってはおっぱいが飲みにくい状態です。
そのため母乳がたまってしまい、つまりやしこりの原因になることが多いようです。また、乳房が大きかったり、乳頭がかたい、乳腺が細いなども原因になります。
授乳のし過ぎ・癖
赤ちゃんが新生児のうちは特に頻回授乳になりますが、泣きやまないから、寝ないからと授乳し過ぎると、乳頭が痛み炎症を起こし、つまりやしこりの原因となってしまうことも。
母乳の出が良い方のおっぱいばかり飲ませていたり、乳頭を赤ちゃんに深く含ませられなかったり、添い乳など同じ方向からの授乳を繰り返すことも同様にトラブルを招きやすいといわれています。
脂質・糖分の多い食事
ママの食事内容は、母乳に影響します。肉類の脂肪は母乳がつまりやすくなるといわれており、糖分も中性脂肪を増やしつまりを招きやすくなります。
つまりやしこりを解消するには?
乳房ケア
前述したとおり、ママの乳頭の形によってはつまりやすくなることも。自分のおっぱいの状態をよく知って、母乳外来などで専門家のアドバイスを受けておくと良いでしょう。
自己流でマッサージをしてしまうと、乳房を傷つけてしまったり、かえって悪化させてしまうおそれもあるため正しいケアを教えてもらうのがベターです。
赤ちゃんに色んな方向から吸ってもらう
たまった母乳を出すために、赤ちゃんに吸ってもらいましょう。抱き方を変えてみて、色んな方向から飲ませてみましょう。(【助産師監修】新生児・赤ちゃんの正しい授乳姿勢や抱き方のコツの記事を参考にしてみてください。)
授乳前後に自分の手で搾乳を行うことも母乳のつまりの予防になります。
和食中心の食生活
油分が多い母乳はどうしてもつまりやすくなってしまいます。脂肪分の多い食事はできるだけ避けましょう。
根菜類・海藻類・豆類・青菜・魚等を摂れ入れたあっさりした和食中心のヘルシーな食生活を心がけましょう。
ハーブティー
母乳のスムーズな流れをサポートする、ハーブティーもあります。私はつまりやすい体質だったので食事の時もお茶の代わりに飲んだりしていました。
ハーブティーを飲むようになってからいつの間にかつまりに悩まされることもなくなったので、おすすめです。
授乳中のしこりと乳がんの見分け方は?
母乳のつまりによってしこりが残ってしまうことがありますが、胸にしこりを見つけると、「もしかしたら乳がん…?」と不安になってしまう人もいるのでは。
一般的に、授乳中の乳がんは珍しいといわれていますが、全く発症しないというわけではありません。
また、授乳期は乳腺組織の密度が増加して正確な判断がしにくいことから、マンモグラフィーなどの乳がん検診は推奨されていません。乳がんとの見分け方として、次のような違いがあります。
つまりなどが原因の授乳中のしこり
・しこりは大きめ
・触ると動き、しこりの部分が痛むこともある
・突然できて、急に小さくなる
乳がんのしこり
・グリっとして硬い
・触っても動かず、痛みを感じない
しこりがあると感じたら、触ってセルフチェックしてみましょう。しかし、自分ではなかなか分かりづらいことも。授乳中に不安になった時は、母乳外来などでチェックしてもらうと良いかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。授乳期はママと赤ちゃんにとってかけがえのない大切な時間です。
トラブルはできるだけ早く解決して、母乳ライフを楽しく過ごしたいですね。参考になれば、幸いです。
関連記事
■体の悩み
-
【医師監修】乳腺炎で発熱!病院に行くべき?症状・原因・対処法も詳しく解説2024.10.08
-
【助産師監修】白斑があっても、授乳して大丈夫? 取り方などを紹介2024.10.08
-
【助産師監修】生後1・2・3ヶ月ごとの授乳間隔・授乳回数の目安は?2024.09.17
AMOMAコラムについて
妊娠、出産前後はママにとっては初めてのことばかり。「これってあってるのかな?」 「大丈夫かな?」と不安や疑問に思った時につい手に取りたくなるような情報をお届けしたいと考えています。そのため多くの情報は助産師をはじめ専門家の方々に監修。テーマから読めるようになっていますので、ぜひ気になるものから読んでみてください。あなたの不安や疑問が解決できるお手伝いになれば嬉しいです。
AMOMAのパートナー
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
その他のお問い合わせはこちらから
メールで問い合わせ