母乳育児Q&A

【助産師監修】母乳の冷蔵・冷凍保存の方法!保存した母乳の飲ませ方は?

2019.07.29

監修 浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。オールアバウトでも執筆中。

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

赤ちゃんが生まれて母乳で育ててきたママは、職場復帰や赤ちゃんを預けなくてはならないときなどに「できればこのまま母乳育児を続けたい…」と思ったことはありませんか?

そんな時に威力を発揮するのが、母乳の保存です。今回は、母乳の保存方法や保存期間、保存した母乳の飲ませ方をご紹介します。

■母乳の保存のメリット・デメリット

メリット

何と言っても、ママが赤ちゃんと離れているときでも母乳をあげられることです。

母乳育児は、栄養面・精神面から考えても赤ちゃんやママにとってたくさんのメリットがあることはご存知の方も多いと思います。

ミルクアレルギーのある赤ちゃんにも安全と言えます。
(詳しくは、完全母乳のメリット・デメリットは?完全母乳にするには?の記事をご覧ください。)

母乳の保存は働くママにとってはもちろんのこと、赤ちゃんが入院したり、ママの乳首から母乳が飲めないとき、赤ちゃんを家族に預けなければならないときなどにとても便利です。

正しい方法で母乳を保存すれば、必要な栄養素を失うことなく、安全にいつでも赤ちゃんに母乳をあげることができます。

デメリット

赤ちゃんと離れていても母乳育児を続けるためには、搾乳が必要です。働くママにとっては、勤務時間中に搾乳することになり衛生面も心配です。

また、保育園に赤ちゃんを預ける場合は保存した母乳をあげてもらえるか事前に相談してみましょう。いずれも周囲の理解と協力が必要です。

■母乳の保存方法

母乳の保存方法は、冷蔵または冷凍する方法があります。それらの手順をみていきましょう。

・まず、哺乳瓶と搾乳器(使用する場合)を消毒し、手をしっかり洗ってから無理のない搾乳を行う。

(詳しい搾乳の方法は、正しい搾乳の仕方と、搾乳した母乳の保存方法の記事を参考にしてください。)

<冷蔵保存>
・哺乳瓶に蓋をつけて、冷蔵庫に入れる。

※その際、冷蔵庫の一番冷える場所がベター。ドアポケットなどへは入れない。

<冷凍保存>
・市販されている専用の母乳パックをコップなどに立て、搾乳した母乳を入れる。

・空気を十分に抜いて、密封する。

・付属のシールなどに名前(保育園などに渡す場合)

・搾乳日時・量を記入して貼る。

・母乳パックをラップで包むかジップロックなどに入れ、速やかに冷凍庫へ。

※職場に冷凍庫がない場合は、保冷剤を入れたクーラーボックスに保存し、帰宅後冷凍庫へ入れる。

※市販の母乳パックの容量は200mlまで入るものが多いが、一度解凍した母乳は残っても廃棄するしかないため、たくさん搾乳できた場合は小分けにしておいた方が便利。

■母乳の保存期間

<冷蔵保存>
24時間以内を目安に使い切る。

<冷凍保存>
約1週間くらいで使い切る。

※家庭用の冷蔵庫・冷凍庫は、詰め込み具合や開閉の頻度などにより庫内の温度変化がみられるため上記が目安となる。

※母乳パックの材質によっても異なるため、母乳パックの推奨保存期間も確認する。

※母乳の解凍後、再冷凍はしないこと。

■保存した母乳を飲ませるときには

<冷蔵保存>
・保存した容器ごとお湯で適温(人肌くらい)まで温め、赤ちゃんに与える。

<冷凍保存>
・母乳の成分を失わないように、冷蔵庫で一晩かけてゆっくり解凍するのがベター。お湯(37°C以下) に保存した容器ごと浸して解凍することも可能。

・解凍してから冷蔵の場合と同じように温め、適温にする。

・消毒した哺乳瓶に移し、赤ちゃんに与える。(保存した容器が哺乳瓶の場合は、そのままあげる)

※解凍の際、電子レンジや熱湯は使用しないこと。熱くなりすぎて火傷の危険になったり、母乳のビタミンやミネラルが失われてしまうため。

また、冷蔵・冷凍保存した母乳は、脂質成分が分離してしまうことがあります。その場合はよく振り混ぜてから与えれば問題ありません。



いかがでしたでしょうか。母乳の保存がうまく活用できれば、ママと赤ちゃんが離れていてもあらゆる面で便利で安心ですね。母乳育児はがんばりすぎないことが大切です。

たくさん母乳を保存しようと搾乳を無理に行うと負担がかかり、乳腺炎を引き起こしてしまうことも。

母乳の出が良くないと感じるときには、授乳期ママのためのハーブティーを飲むこともオススメです。自分に合った方法で、ぜひ長く楽しく母乳育児を続けてみてください。

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浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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