【助産師監修】母乳はいつまで免疫がある?母乳の成分や免疫について
2019.02.22
ことまま
Mama writer
2017年1月生まれの女の子を育てている新米母です。夫は単身赴任なため、フルタイムで働きながら、ワンオペ育児に奮闘しています。育児疲れは仕事で癒し、仕事の疲れは娘の笑顔で癒しながら、毎日を乗り切っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
タグをみる
「赤ちゃんは母乳からお母さんの作った免疫をもらうことができる」などと聞いたことがある方は多いかと思います。「母乳は免疫の面で優れている」ともいわれています。
でも、その効果はいつまでなのでしょうか?今回は母乳の免疫はいつまでなのか、母乳の成分や免疫についてご紹介します。
母乳に含まれる免疫成分
母乳には赤ちゃんを守るため、数多くの免疫成分が含まれています。主な成分は下記の通りです。
免疫グロブリン
(主に分泌型免疫グロブリンA)
免疫グロブリンAは、体内を循環して、病原体を破壊するだけでなく、病原体が入り込む入り口である腸管粘膜をコーティングし、細胞内への侵入を防いでいます。
白血球
母乳は血液からできており、白血球は血液中に多く含まれる細胞です。白血球は腸内を循環して、病原菌を破壊してくれます。
ラクトフェリン
免疫力を調整する機能があり、自身も抗菌・抗ウイルス作用を持つほか、腸内で鉄分と結びつくことで大腸菌の増加を抑え、善玉菌を増やしてくれます。
母乳に含まれる免疫の働き
お母さんが作った抗体が赤ちゃんへ
私たちの身の周りには、数えきれないほどの病原体が存在しています。しかし、免疫システムは常にそれらの病原体を認識し、戦い、対抗できる抗体を作り続けています。
少なくとも十数年以上生きてきたお母さんの体内には、無数の抗体が存在しているというわけです。
お母さんが赤ちゃんに母乳を与えると、それらの抗体が母乳中にも移行し、赤ちゃんの体内に入っていきます。
母乳で赤ちゃんの免疫を手助けできる
赤ちゃんの免疫システムは確立されていません。それもそのはず、さらされたことのある病原体が圧倒的に少ないうえ、免疫システムそのものも未熟だからです。
赤ちゃんひとりの免疫では病原体と戦うのが難しい場合でも、母乳に含まれる「お母さんが作った抗体」を与えることで、赤ちゃんの手助けができるというわけです。
同じ環境で免疫アップ!
お母さんの免疫が含んでいるのは、「今までかかったことのある病原体への抗体」だけではありません。
『赤ちゃんが感染すると、その病原体がお母さんにも感染し、お母さんの体内に「その病原体に対する抗体」ができる』という研究結果があります。
幼い赤ちゃんとお母さんは、基本的に同じ環境で過ごしていることが多いため、同じ感染症にかかりやすいと言えます。
「赤ちゃんから風邪がうつっちゃった」というときは、もしかしたら、お母さんの体内で抗体を作ってあげられるチャンスかもしれませんね。
母乳の免疫はいつまで続くの?
さて、そんなメリットだらけの母乳免疫ですが、いつまでその効果は続くのでしょうか?
「いつまで飲ませているの、もう母乳にはそんなに栄養ないわよ」などと周囲に言われる方も多いようですが、実は、母乳に含まれる免疫は、長期間の授乳でも無くならないといわれています。
初乳の免疫は強い?
母乳の中でも、産後間もなく出る初乳には、特に免疫物質が多く含まれています。
ミルク育児を予定している場合も、「初乳だけは頑張って飲ませてね!」と言われるのはこのためです。1滴でも舐めるだけでも違います。
成乳の免疫はいつまで?
では、初乳の後に出る「成乳」はどうなのでしょうか?成乳に含まれる免疫成分の濃度は、初乳に比べると確かに劣ります。
しかし、出産後、時間がたてば免疫成分が無くなってしまうというわけではありません。子供が1歳を過ぎてからの母乳にも免疫成分が含まれていることが分かっています。
赤ちゃんの免疫も成長します
もちろん、母乳さえ飲ませていれば感染症にかからないというわけではありません。
一方で、「断乳したら病気がちになるのでは?」と心配してなかなか断乳に踏み切れないというお母さんもいます。
ですが、赤ちゃん自身も成長し、また、色々な病気にかかりながら、だんだん自分でも抗体を作れるようになってきます。
母乳育児には免疫以外にも色々なメリットがありますが、「辛い、でも免疫のために続けなきゃ!」というお考えの場合は、思いつめ過ぎないでくださいね。
筆者は保育園に子どもを預ける際、断乳すべきかを相談するため母乳外来に行きました。その際に助産師さんに言われたのは、「母乳を飲ませている子の方が、感染症が重症化しにくいのよ」ということ。
当時はピンときませんでしたが、この記事でご紹介したことをふまえると、理にかなっていますね。お母さんからの免疫は赤ちゃんへの最初のプレゼントといわれています。
母乳育児は赤ちゃん中心の生活となり、いろいろ大変な面もありますが、無理をせず楽しんでくださいね。
関連記事
■体の悩み
-
【医師監修】乳腺炎で発熱!病院に行くべき?症状・原因・対処法も詳しく解説2024.10.08
-
【助産師監修】白斑があっても、授乳して大丈夫? 取り方などを紹介2024.10.08
-
【助産師監修】生後1・2・3ヶ月ごとの授乳間隔・授乳回数の目安は?2024.09.17
カテゴリーランキング
AMOMAコラムについて
妊娠、出産前後はママにとっては初めてのことばかり。「これってあってるのかな?」 「大丈夫かな?」と不安や疑問に思った時につい手に取りたくなるような情報をお届けしたいと考えています。そのため多くの情報は助産師をはじめ専門家の方々に監修。テーマから読めるようになっていますので、ぜひ気になるものから読んでみてください。あなたの不安や疑問が解決できるお手伝いになれば嬉しいです。
AMOMAのパートナー
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
その他のお問い合わせはこちらから
メールで問い合わせ