【助産師監修】母乳を増やすため、授乳中にサプリメントは必要?母乳への影響は?
2018.09.07
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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栄養を手軽に摂れることから、日本でも身近になっているサプリメント。ある調査では約3割の人が毎日利用しており、過去に利用経験がある人は約8割とかなり拡大していることが分かります。
授乳中は栄養がより一層必要となる時期ですが、サプリメントは必要なのでしょうか?今回は授乳中のサプリメントについてご紹介します。
■授乳中にサプリメントは必要?
基本的に、栄養素は食事からのみ摂ることが望ましいといわれています。
しかし、産後の疲れなどが原因で食欲がなく食べられなかったり、赤ちゃんのお世話につきっきりで偏ったバランスの食事になってしまっているママも少なくないようです。
そんな時は必要に応じてサプリメントを上手に利用した方が良いかもしれません。サプリメントであれば、通常の食事量では少量しか含まれない成分も手軽に摂ることができるといったメリットがあります。
授乳期ママ向けのサプリメントで多いのは、葉酸、鉄、カルシウム、DHAなどになります。
■授乳中のサプリメント 母乳への影響は?
授乳中はママが摂る栄養が母乳を介して赤ちゃんに届くため、サプリメントが母乳に与える影響も気になりますよね。
サプリメントの授乳中のママへの安全性は、ヒト試験で確認することが困難なため、摂取するとどういった影響を受けるかということは一概にはいえません。
そのため、授乳中のママが積極的にサプリメントを摂取することはあまりおすすめできないといえます。あくまでも、食事だけでは不足する栄養分の補助として取り入れてくださいね。
■授乳中のサプリメント摂取で気をつけたいこと
いざサプリメントを購入するとなると、より栄養価の高いもの、たくさんの成分が入っているものを選びたくなりますよね。
店舗やインターネットで様々なサプリメントが並んでいますが、なにを基準に選んだらいいのでしょうか。
避けるべきサプリメント
授乳中にサプリメントを摂取する時のポイントとして、まずは「どれが良いか」よりも「どれを避ければ良いか」という点を抑えておきましょう。
カフェイン
授乳中にカフェインは控えた方がいいのは有名ですが、サプリメントの中にはカフェインが配合されているものもあるので注意しましょう。
プラセンタ、イソフラボン
美容系のサプリメントに含まれることが多いプラセンタやイソフラボンには、女性ホルモンを活性化させる働きがあります。ホルモンバランスを崩す恐れがありますので、避けた方が良いでしょう。
授乳中に禁忌のサプリメント
「授乳中は飲用をお控えください」と注意書きされているものもあります。飲む前に必ず注意書き・説明を確認しましょう。
成分名・含有量・問い合わせ先の表記を確認する
いろいろな成分が入っている製品がお得に感じるかもしれませんが、その栄養素が本当に必要かどうかよく考えてみてからにしましょう。
物質名・含有量までしっかりと表記されていること、そして摂取していてわからないことや不都合なことがあったときのために、問い合わせ先が表記されているか確認しましょう。
製造者・販売者・輸入者などについての表示は食品衛生法で定められています。これらがしっかり表記されているものを選ぶようにしましょう。
キャッチコピーだけに頼らず、含まれる成分はどのようなものなのか、自分で調べてみることも大事です。
以下のデータベースで成分の安全性・有効性を調べることができますので、気になることがあれば、自分自身でも確認してみましょう。
「健康食品」の安全性・有効性情報「素材情報データベース」(国立開発研究法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
信頼できる店舗・施設(薬局・病院等)で購入する
販売されているサプリメントの中には、故意に薬の成分を添加した「無承認無許可医薬品」に該当するものがあります。添加された薬の種類や含有量によっては重大な健康被害を受ける場合があります。
海外製品や個人輸入などは特に注意しましょう。
また、サプリメントの中には健康への効果を表示できる「特定保健用食品(トクホ)」や、含まれる栄養成分の効果を表示できる「栄養機能食品」などに該当するものもあります。
それらも含め、サプリメントはすべて「健康食品(食品)」として分類されます。「医薬品」ではありません。
そのため医薬品と違い、副作用によって健康被害が生じた際の救済措置「医薬品副作用被害救済制度」は、サプリメントは適用の対象外となります。
※医薬品の場合は、適正に使用していたにも関わらずその副作用により重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度「医薬品副作用被害救済制度」が設けられています。
最近では、産婦人科などで妊娠中や授乳中の方向けのサプリメントを販売していたり、医師から処方してもらえるケースもあります。
インターネット等でやみくもに購入するのではなく、信頼できる店舗や施設で相談しながら購入するのが安心です。
サプリメントの摂りすぎに注意
基本的なことですが、パッケージに記載されている摂取量を守るようにしましょう。
薬じゃないからたくさん飲んでも大丈夫、ということは決してありません。
サプリメントは様々な栄養素が凝縮されており、例え少量でも想定以上の量が含まれていることが多いです。脂溶性のビタミンなど特定の栄養素の過剰摂取は、思わぬ健康被害を及ぼすことがあります。
また、規定量を守っていても複数のサプリメントを常用している場合、同じ・もしくは似たような成分が含まれていると気づかないうちに過剰摂取になってしまうことがありますので注意が必要です。
■授乳中に補いたい栄養素
授乳中のママが積極的に摂りたい栄養素について、代表的な3つをご紹介します。基本は食材から、それでも足りてないな…という時はサプリメントで補いながら摂るようにしましょう。
葉酸
妊娠中から特に必要とされている栄養素。水溶性ビタミン(ビタミンB群)の一つで、赤ちゃんの成長に役立つ大切な栄養素です。
葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜やいちご、納豆などに多く含まれています。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、成人女性の葉酸の一日の推奨量は240μgといわれていますが、授乳中の女性は340μgの葉酸を摂ることが望ましいとされています。
ほうれん草の場合4、5株程度で約340μgの葉酸が含まれますが、葉酸は水溶性で水に溶けやすく熱にも弱いという性質があるため、どの食材も調理法によっては多くの量が失われてしまうといわれています。
その不足分をサプリメントで補って必要量をキープすると良いでしょう。
鉄
母乳は血液からできているので、血液の成分に欠かせない鉄は授乳中に十分に摂取する必要があります。
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、月経のある成人女性の一日あたりの推奨量は10.5mg、月経が再開していない授乳中の女性は8.5~9mgとされています。
鉄はしじみやプルーン、肉に多く含まれていますが、吸収率が低いため、魚などの動物性たんぱく質やビタミンC、そして葉酸と一緒に摂ることで吸収率がアップするといわれています。
調理に鉄鍋を使うこともおすすめです。
カルシウム
多くの日本人が日頃から不足しがちな栄養素の一つです。
妊娠・出産・授乳によって大量に消費されるので、赤ちゃんへ栄養を与えるため、そしてママ自身の健康のためにも、1日600〜1100mg を摂るように心がけましょう。
カルシウムは乳製品、大豆製品、海藻類に多く含まれます。そしてキノコ類や魚類に多く含まれるビタミンDは一緒に摂ることでカルシウムの吸収を助けてくれます。組み合わせて摂るようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。「栄養が偏ってもサプリを摂取しておけば大丈夫」「摂取すれば健康になる」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、安全性や有効性が確認されている安心して摂取できる製品もあれば、中には悪質な製品もあります。
サプリメントだけに頼った生活をするのではなく、サプリメントを取り入れることで、食事内容を見直したり、運動や睡眠など生活習慣の改善のきっかけになるといいですね。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
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