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【助産師監修】授乳中、インフルエンザにかかってしまったら…?ー予防と対処法ー
2018.12.26
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監修 浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。オールアバウトでも執筆中。
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AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
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毎年冬になると猛威をふるうインフルエンザ。授乳中のママは、赤ちゃんが感染してしまわないか、とても心配ですよね。
今回は、予防法やかかってしまったときの対処法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
授乳中のインフルエンザ予防方法
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人混みを避け、外出時はマスクをつける
インフルエンザの主な感染経路は、感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを直接吸い込んで感染してしまう、飛沫感染です。
できるだけ人混みを避け、外出時はマスクをつけるようにしましょう。
マスクは顔のカーブにフィットしたすき間のないものを。
使用後のマスクは表面にウイルスが付着しているため、一旦はずしたら速やかに捨て、清潔な手で新しいマスクをつけましょう。
帰宅後はしっかり手洗い・うがい
外出した後の手洗い・うがいは感染症予防の基本です。手についた微生物を取り除くには、すみずみまで20秒間以上手洗いする必要があります。
手洗いがすぐにできないときは、アルコールの手指消毒液などを使用すると良いでしょう。
うがいはまず口の中をクチュクチュとゆすいでからガラガラとうがいを繰り返します。
まだ手洗い・うがいができない赤ちゃんは、おしぼりで手を拭いてあげたり、母乳やミルク、お茶などで喉を潤してあげましょう。
部屋を加湿する
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インフルエンザウイルスは乾燥に強く、空気が乾くと喉や気管支の防御機能が低下し、インフルエンザに感染しやすくなります。
加湿器などを使用して、室内の湿度は50%~60%を保つようにしましょう。
予防接種を受ける
インフルエンザの重症化を防ぐために、予防接種を受けることをおすすめします。授乳中でもインフルエンザの注射は打つことができます。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンというタイプで、ウイルスの病原性をなくした成分が用いられています。
体内でウイルスが増えることはないため、母乳を介して赤ちゃんに影響が出ることはありません。
ワクチンは接種してから効果が現れるまで通常2週間かかるので、流行りだす時期を考えて12月中旬頃までに接種しておくことが望ましいです。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、ワクチン接種を受けることができません。まわりの家族皆が予防接種を受けておくと良いでしょう。
ママが感染してしまったら…?
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母乳から赤ちゃんにインフルエンザがうつるのでは?
先に述べたようにインフルエンザは飛沫感染が主な感染経路で、気道粘膜でウイルスが増殖します。
血液の中に大量のウイルスが発生することはなく、血液からできている母乳の中に大量のウイルスが混じるということは考えられないようです。
しかし、授乳はママと赤ちゃんが密着した状態なので、飛沫感染を防ぐことが大切です。
十分に手洗いをする、マスクを着用する、赤ちゃんに触れる服や肌着は清潔にする、搾乳して他の人に哺乳瓶であげてもらうなどして予防しましょう。
薬を飲んでいても授乳できるの?
抗インフルエンザ薬として代表的なタミフルは、微量ながら母乳に移行しますが、赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。
専門家によっては、授乳中のタミフルの服用は避けることを推奨されることもあれば、服用しても問題ないと判断されることもあるようです。
受診して、授乳中であることを伝えた上で医師の指示に従うようにしましょう。
赤ちゃんが感染してしまったら…?
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まずは病院へ
インフルエンザは風邪よりも重症化することが多く、また、中耳炎や脳炎、脳症など合併症が怖い病気です。感染してしまったかも?と思ったら早めの受診がおすすめです。
しかし、高熱などインフルエンザの症状が出てから12時間以上たたないと検査判定ができないといわれているため、夜間に慌てて受診しなくても良いようです。
もしけいれんを起こした場合は、揺さぶったり大声で名前を呼ばないで落ち着いて以下の事を行いましょう。
・嘔吐がある場合は、衣服を緩めて横向きに寝かせる。(嘔吐物をふき取る)
・平らなところに寝かせる。
高熱でのけいれんは熱性けいれんの可能性もあるため、5分以内で治まり、その後も異常がない場合は様子をみていいでしょう。
しかし、けいれんが5分以上続く場合や、治まっても意識がもうろうとしていたり、顔色が悪い場合はすぐに救急車を呼びましょう。
初めてけいれんを起こした場合や、けいれんが体の一部だけだったり左右に差がある場合は、けいれんが治まってからすぐにかかりつけの小児科や救急医療機関で受診してください。
いつも以上に水分補給を
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インフルエンザに感染してしまうと、体がウイルスと戦うため40度近い高熱が出ることがよくあります。高熱になると心配なのが脱水症状です。
食欲が落ちて離乳食があまり食べられなくても、授乳やイオン飲料などで頻繁にしっかりと水分補給を行いましょう。
温度・湿度管理と換気をしっかりと
部屋の温度は、赤ちゃんの寒気が強いときには温度を上げて暖めてあげましょう。逆に熱で暑そうにしている時は室温が高過ぎるので調整を。
この季節は乾燥しがちなので、加湿も十分に行います。湿度が高くなるだけで咳、鼻水が楽になります。適度に換気を行い、部屋の空気を入れ替えることも大切です。
授乳中のママと赤ちゃんにとって、この時期は本当に心配が尽きません。早めの対策と正しい知識で、インフルエンザに負けないで冬を乗り切りましょう。
関連記事:妊娠したら知っておきたい!インフルエンザの予防と対処法
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