【医師監修】乳腺炎で発熱!病院に行くべき?症状・原因・対処法も詳しく解説
2024.10.08
監修 牛丸敬祥
産婦人科医
長崎大学病院では研修医、医員、助手、講師として勤務。その他、医療圏組合五島中央病院産婦人科部長、国立嬉野病院産婦人科部長、長崎市立長崎市民病院産婦人科医長、産科.婦人科うしまるレディースクリニック院長、などを歴任。現在まで20,000例以上の出産を経験。医療法人ガーデンヒルズウィメンズクリニック院長
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授乳(母乳育児)期間中の発熱は、乳腺炎によるものか、風邪やインフルエンザによるものか、判断に迷うことも少なくありません。
熱の原因が思っていたものと違っていた場合、受診する診療科も変わってくるため、二度手間になる恐れもあります。
授乳期間中に見られる熱の原因や見分け方、受診の目安などを詳しくご紹介します。
乳腺炎は「うっ滞性乳腺炎」と「化膿性乳腺炎」の2種類
乳腺炎は、うっ滞性乳腺炎と化膿性乳腺炎の2つがあります。この2つの乳腺炎は、どちらも症状として発熱が見られ、特に化膿性乳腺炎では高熱や頭痛などの症状が見られます。
それぞれの症状の特徴をみていきましょう。
うっ滞性乳腺炎
乳管閉塞や母乳の溜まりすぎ、おっぱい(乳房)に炎症が起きた状態です。
おっぱいの熱感や赤み、腫れ、しこりなどの症状のほか、熱(37.5~38.5度未満)が出ることがあります。
熱は上がったり下がったりを繰り返すことがあるため、一旦下がったからと安心はできません。
母乳の溜まりすぎが改善されないと、化膿性乳腺炎に進行する可能性が高くなります。
化膿性(感染性)乳腺炎
乳頭にできた傷などから入った細菌が、乳腺内に溜まった母乳で増殖・感染した状態です。
細菌感染によって症状は全身におよぶので、38.5度以上の高熱や悪寒、頭痛、関節痛、吐き気などの症状が見られます。
発熱は高い状態が続く場合もあれば、上下を繰り返すこともあります。
乳腺炎体験者のコメント
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乳腺炎と風邪を見分ける方法
授乳期間中の発熱の原因として、まず考えられるのが乳腺炎と風邪です。
この乳腺炎と風邪の見分け方で一番重要なのが、おっぱいに下記のような症状があるかどうかです。
・授乳後もおっぱいの張り感が続きすっきりしない
・乳頭に傷や水疱、白斑(乳頭に白い塊が付き出口をふさいだ状態)がある
・おっぱいの腫れや熱感、しこり
・おっぱいが部分的にくさび形になっている
・おっぱいの強い痛み
これらの症状があり、37.5度以上の発熱が見られる場合は乳腺炎が疑われます。
特に、38.5度以上の高熱が出ている場合は化膿性乳腺炎に進行していることが考えられるので、早めに病院を受診することが大切です。
おっぱいの症状がなく、咳や鼻水、のどの痛みなどの症状が何日も続く場合には、風邪などの原因が疑われます。
また、高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が見られる場合、インフルエンザの可能性もありますので、おっぱいの症状がない場合は、まず内科を受診してみましょう。
乳腺炎で発熱した際の対処法
「熱が出たらロキソニンやカロナールなどの解熱剤を内服!」と思われるている方も少なくありません。
乳腺炎の場合、解熱剤を飲んでも、母乳の溜まりすぎを改善しない限りまた熱は上がります。おっぱいの症状があり、熱が出ている場合は早めに病院を受診するのが鉄則です。
ただ、夜間や休日など、すぐに受診ができない場合は下記の対処方法を試してみましょう。
・葛根湯を飲む
授乳後もおっぱいの熱感や張り感がある場合や、痛みはないけどしこりが見られるような乳腺炎の初期には、葛根湯を飲んでみましょう。
葛根湯は、授乳中でも飲むことができます。用法用量を守って内服することが大切です。
・冷やす
おっぱいの熱感や痛みが強い場合は、やわらかい保冷剤で冷やすと症状が和らぎます。保冷剤は、タオルで巻いて直接肌に触れることのないようにしましょう。
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乳腺炎で病院に行く際の目安は?何科?
おっぱいの症状があり、37.5度以上熱が出ている場合、その日もしくは翌日までには医療機関を受診し、医療従事者の判断を仰ぎましょう。
熱はなくても、おっぱいに症状がある場合は、熱が上がることが考えられるので、早めに受診したほうが安心です。
寒気がする場合は、熱が上がってくる可能性が高いので注意しましょう。
受診する場合、出産した病院や助産院、母乳外来、女性外来、乳腺外科、乳腺外来などに行きましょう。
特に、高熱でおっぱいの症状がひどい場合(痛みが強い、腫れがひどい、部分的に色が変わっているなど)、医師の診察・治療が必要な場合がありますので、病院を受診しましょう。
乳腺炎に関してよくある質問
乳腺炎の熱に対する疑問を産婦人科医師に詳しく聞いてみました。
Q1.乳腺炎の症状で熱だけでることはある?
乳腺炎は、おっぱいの異常によって、しこりや痛み、発熱などの症状が出る状態を言いますので、おっぱいに異常のない場合の発熱は、乳腺炎以外の原因が考えられます。
しかし、おっぱいの症状に気付かず、風邪と勘違いするケースもあります。そのため、授乳期間中の発熱時は、必ずおっぱいをチェックしましょう。
気付いていない部分にしこりがあったり、赤くなっている部分があったり、乳頭に白斑(乳頭に白い塊が付き出口をふさいだ状態)や傷がある場合もあります。
Q2.いつまで熱は続くの?子供に移ることはある?
微熱が続く場合や、寒気とともに急に高熱が出る場合、熱が上がったり下がったりを繰り返す場合など、熱の出方はさまざまです。
乳腺炎の原因であるおっぱいの溜まりすぎが解消されない限り、熱は完全に下がらないまま持続します。
さらに、しこりや発熱、痛みなどの症状が見られてから3、4日経過すると、感染が進み、膿瘍になってしまう場合があります。
乳腺炎は、人にうつることはありませんし、乳腺炎になっているおっぱいから授乳しても赤ちゃんが発熱することはありません。
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Q3.熱が出ない乳腺炎もあるの?
うっ滞性乳腺炎では、熱が出ずおっぱいの熱感やしこりだけの状態も少なくありません。
しかし、そのままの状態で経過すると、うっ滞性乳腺炎から化膿性乳腺炎になり、突然高熱が出るということもあります。
うっ滞性乳腺炎の症状が疑われた時点で、早めに受診することが大切です。
Q4.熱があっても授乳してもいい?
乳腺炎で熱があっても、授乳はやめないのが鉄則です。おっぱいが溜まりすぎる状態が続けば、さらに乳腺炎は悪化します。
赤ちゃんにしっかり吸ってもらうことが、乳腺炎の治療として重要ですので、授乳は続けましょう。
ただし、乳頭痛がひどい場合や、体力的に授乳ができない場合などには、授乳はお休みして定期的に手やさく乳器で搾乳します。
ただ、搾乳は慣れていないと時間がかかり、かえって体力を消耗するので、できる限り授乳を続けるのが望ましいです。
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Q5.病院にいった際はどのような処置を受ける?
乳腺炎による熱の場合、おっぱいの溜まりすぎが原因ですので、病院ではその原因を取り除くための処置が行われます。
おっぱいの状態を診察後、抗生物質(抗菌薬)や解熱剤の処方が行われます。
化膿性乳腺炎で膿瘍ができている場合には、溜まっている膿を出すために穿刺や切開が必要になることもあります。
また、助産院や母乳外来など助産師さんが診てくれる場合は、授乳時の赤ちゃんの抱き方や授乳時の姿勢、飲ませる方向などを詳しくアドバイスしてもらえます。
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また機会があればお世話になりたいです!
高熱の時は迷わず病院へ! 乳腺炎以外の病気の可能性も
乳腺炎以外にも、風邪やインフルエンザなど発熱する病気は多くあります。
おっぱいの症状がある場合は、出産した病院や母乳外来、女性外来、乳腺外科、乳腺外来などを受診し、おっぱいの症状がない場合は、内科などを受診し、必要な検査や治療を受けましょう。
また、乳腺炎が悪化すると膿瘍ができたり、稀にトキシック・ショック症候群と呼ばれる致死的な感染症を発症する可能性があります。おっぱいに異常が見られたら早めに受診することが大切です。
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参照文献
・公益社団法人日本助産師会「乳腺炎2015」日本助産師出版
・乳腺炎 こうのとりクラブ
・乳腺炎が原因と考えられた MRSA による Toxic Shock Syndrome(TSS)の 1例
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AMOMAのパートナー
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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