体の悩み

【助産師監修】妊娠中の避難生活〜避難中に気を付ける事や備えについて〜

2019.01.25

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

近年、日本は大きな自然災害に見舞われることが多く、防災意識が高まっています。妊娠中に被災した場合のことを想定し、日ごろから備えをしておくことはとても大切です。

今回は妊娠中に被災した場合、避難生活で気をつけることや備えについてご紹介します。

日ごろからの備えが大切


妊婦さんは災害が起きたときに機敏に動くことが難しいため、妊娠前よりも高い防災意識を持つ必要があります。おなかの赤ちゃんを守るためにも、日ごろからしっかり備えて起きましょう。

身の回りの安全確認

・避難場所、避難経路の確認
・高いところや床にたくさん物を置いておかない
 (転落、転倒防止)
・家具の固定、配置の確認

日ごろから準備しておきたい防災グッズ

■いつも持ち歩く鞄にいれておくと便利なもの
・母子健康手帳
 …紛失したときのため、書き込みのあるページをスマートフォンで撮影・保存しておくと良い。
・健康保険証
・マタニティマーク
・ゼリー飲料(1個)…水分・栄養補給のため
・マスク(2枚ほど)…煙や感染症を防ぐ
・小銭(10円玉、100円玉を500円分ほど)
 …自動販売機や公衆電話で使用
・洗浄綿(5枚ほど)、生理用ナプキン、おりものシート(2枚ほど)…衛生確保のため
・携帯用コンパクトトイレ
・防災用アプリ
 (ダウンロードして初期設定をしておく)
・携帯の充電バッテリー

※妊婦さんが一人で運べる荷物の重さの目安は約5kg 。災害時はリュックが便利。

■家庭での備蓄品
・水1週間分
 (1日1人あたり3ℓが目安。500ml容器が望ましい)
・常温で日持ちのする調理不要の食品、野菜ジュース、ロングライフ牛乳
・嗜好品(甘いもの)
・栄養補助食品
・日持ちする根菜類
・米、パスタ、カップ麺
・紙皿、紙コップ
・食品用ラップ、アルミホイル、厚手のビニール袋(ジップロックなど)
・キッチンばさみ
・買い物用ポリ袋、エコバッグ
・カセットコンロ、ガスボンベ
・生活消耗品
 (トイレットペーパー、生理用品、ウエットティッシュなど)
・災害用トイレ(1週間分ほど)
・応急処置道具
 (ガーゼや包帯、三角きん、消毒薬など)
・防災ライト、携帯ラジオ
 (ソーラー式のものが便利)
・マッチ、ライター
・掃除道具
 (ガラスなど回収できるように、ガラ袋、ほうき・ちりとり・粘着テープ・ブルーシートなど)
・抗菌・防臭スプレー
・持病の薬、コンタクトレンズ
・下着など着替え(断水に備えて多めに)

■妊娠28週以降の妊婦さんが準備しておきたいもの
・入院に必要な出産準備品
・避難後の出産を想定した赤ちゃん用品
  ・おくるみ
  ・紙おむつ
  ・おしりふき
  ・スティックタイプのミルク
  ・使い捨て哺乳びん
  ・ベビー肌着&ウェア
  ・授乳ケープ
  ・ガーゼ
  ・抱っこひも
  ・赤ちゃん用綿棒
  ・赤ちゃん用バスタオルと沐浴布

妊娠中に災害が起きたら

安全確保が第一

災害が起きたら、何よりも自分の身とおなかの赤ちゃんを守ることに徹しましょう。危険なものから離れ、頭とおなかを守るようにします。

地震が起きた場合は、机の下に隠れておなかを守るように、ダンゴムシのようなポーズで身体を丸めると、上からものが覆いかぶさったとしても自力で這い出ることができます。

おなかが大きくこのポーズがとれない場合は横向きになるようにしましょう。

できるだけ単独行動はとらない

身の安全を確保したら、テレビやラジオなどで得た正しい情報に基づき、避難の判断をします。行動しやすい服装や履物、帽子を身につけます。

妊婦さんはおなかが大きく足元が見えづらい場合があるので、できるだけ一人で行動することは避け、誰かに先導してもらい避難するようにしましょう。

また、家族と離れている場合、すぐに連絡をとりたくなるものですが、自分の身の安全が完全に確保できてから連絡を取るようにしてください。

妊娠中の避難生活で気をつけること


無事に避難ができたとしても、避難所での生活は不便で心細く感じることもあるでしょう。避難先では以下のことに気をつけて生活を送るようにしてください。

妊娠中であることをしっかり伝える

避難先ではまず責任者に妊娠中であることをしっかり伝えるようにしましょう。周囲の人へはマタニティマークを目立つところに付けて、分かってもらうようにすると良いでしょう。

おなかの赤ちゃんの様子

いつも通りの胎動があれば赤ちゃんは元気ですので過度に心配しないようにしてください。

しかし、胎動が少なくなる、おなかが張って痛みがあるようなことがあれば、病院に搬送してもらうように責任者へお願いしましょう。

食事に配慮する

インスタント食品やお弁当が中心になると、塩分の摂りすぎでむくみが生じやすくなることも。塩分の濃いものは残すようにしましょう。

支給された食事がおにぎりやパンなど炭水化物が中心になると、他の必要な栄養素が不足してしまいます。

できるだけ主食・主菜・副菜を揃えた食事を確保するようにし、できない場合は栄養補助食品などで補うようにします。

衛生確保を心がける

入浴できなくても、体はタオルやウエットティッシュなどで拭くようにします。特に手指や陰部は清潔が保ちにくいため、部分的に洗ったり洗浄綿などを利用すると良いでしょう。

血流を良くする

妊婦さんは一般の人より血栓ができやすく、車中泊でよくあるエコノミークラス症候群にならないよう注意する必要があります。

適度な水分補給をし、屈伸運動や散歩などで身体を時々動かすように心がけましょう。

身の安全を守るために

暗い場所やトイレなどは一人で行かないようにしましょう。


いかがでしたでしょうか。妊娠中に被災した場合のことを考えるととても不安に思うものです。ですが、災害はいつ起こるかわかりません。

ひとりの身体ではないということを常に意識して、もしもの時に備えましょう。

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助産師/商品開発パートナー
浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
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牛丸敬祥
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日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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