出産準備

【助産師監修】理想の出産は無事に赤ちゃんに逢えること!

2019.01.16

なお

Writer / 薬剤師

2015年11月生まれの女の子の母です。職業は薬剤師でただ今育児休業中。優しくて面白いパパに支えられながら、慣れない家事育児に奮闘中です。子どもの成長と休日の家族団らんが今の楽しみ。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

妊娠した女性なら誰しも、産まれてくるかわいい赤ちゃんを想像しながらバースプランを考えることと思います。

それぞれに理想があるわけですが、妊娠・出産とは最後まで何が起こるかわからないもの。

数年前、初めての妊娠・出産を経験した私も、理想通りの出産ができると思い込んでいました。しかし、実際は思い描いていた出産とは全く違うものとなりました。

今回はそんな出産の体験談をご紹介します。

順調な妊婦生活から一転、入院生活スタート

妊娠初期こそつわりで体調が辛かったものの、赤ちゃんの経過も順調な妊婦生活を送っていました。

しかし妊娠後期に入り、出産予定日が近づいてくるにつれ切迫早産と診断されたり、おなかの中の赤ちゃんの心拍数を測る検査では時々赤ちゃんの心拍がとても弱くなってしまうことを指摘されました。

出産予定日まであと1ヶ月を切った頃、主治医の先生より「切迫早産と赤ちゃんの心拍数の静かなことが気になるので入院管理をしましょう」と言われました。

入院中は1日5回切迫早産の薬を飲み、「ノンストレステスト(NST)」という赤ちゃんの心拍数と妊婦のお腹の張り具合を測定する検査を1日5回(1回あたりの検査時間が約1時間)を毎日受け続けました。

機械をつけて測定してる間は横になり安静にしておかなければなりません。

ノンストレステストとは、リラックスし、ストレスのない状態(陣痛のない状態)で、赤ちゃんが元気かどうか、母体がお産に耐えれるかどうかを調べる検査です。

「ノンストレステスト」という名称ですが、1日計5時間弱もベッドの上に同じ姿勢でじっとしていることは全く「ノン」ではなく「ストレステスト」でした。

入院中も尽きない心配

毎日「ノン」ストレステストを受けて過ごす入院生活も日が経ち、赤ちゃんがいつ生まれてもよい37週目も過ぎようとしていました。

切迫早産の心配は解消されましたが相変わらず赤ちゃんの心拍数が静かなことが多く、心配は尽きませんでした。

不安がつきまとう入院中の生活を少しでもやわらげるために、音楽を聴いたり、好きな香りのアロマを焚いたりと色々なリラックス方法を試してみて、だいぶ気がまぎれた気がします。

出産予定日まで残り2週間になりました。

主治医の先生に「おそらく臍帯(へその緒)に何か異常があって赤ちゃんの心拍が弱いことが考えられるので、もう(赤ちゃんを)早く出してあげた方がいいでしょう」と言われました。

出来ることなら経腟分娩を経験したかったので、2日後に陣痛誘発剤を使って計画分娩をすることに決定しました。

計画分娩、開始2時間後の急展開

計画分娩の当日、夫はぜひとも初めての子どもの出産に立ち会いたいと上司にお願いして仕事を休んでくれました。夫が居てくれて本当に心強かったです。

当日の朝6時から陣痛誘発剤の使用を開始、お腹の張り具合と赤ちゃんの心拍数をチェックするノンストレステストの機械はトイレに行くとき以外は24時間つけっぱなしです。

誘発剤を使い始めて2時間が過ぎた頃、お腹にジンジンと痛みを感じるようになってきました。

でも陣痛の痛みは想像を絶すると先輩ママたちの体験談を聞いていたので「まだまだ」とのんびり構えていました。

先生が急いで私のいる部屋に入ってこられ「赤ちゃんの心拍数がガクンと落ちてきているので、帝王切開にしたほうがいい。30分後に手術開始だから準備して」と言われました。

あれよあれよという間に看護師さんや助産師さんがバタバタし始め、私は「えっ?えっ?」と状況が理解できないまま車いすに乗せられ手術室へ連れて行かれました。

頭はパニック状態のまま手術台へ

計画分娩の予定が、緊急帝王切開に変更になり自分でも頭の整理がつかないままでした。手術室へ到着し、手術台には自分で上がることになっていました。

看護師さんの「こっちが頭側になるように仰向けになってください」との指示もサッと理解出来ず「頭ってどれ・・・あ、これが頭だからこっちが足か」とおかしな事をつぶやいていました。

立ち会う予定の夫も手術用のエプロンとキャップをかぶり、私の手術台の横にスタンバイ。まな板の上の鯉となりガタガタと震える私の手をずっと握ってくれていました。

手術開始から10分後、お腹が軽くなる感じがしたと思ったら、オギャーという元気な声とともに目の前に小さな赤ちゃんが現れました。
無事に生まれたんだと安心して涙がこぼれました。

先生の話によると、お腹の中のへその緒が赤ちゃんの首元で蛇のようにとぐろを巻いていたそうで、経腟分娩していたら危なかったということでした。

理想と違う出産でも大丈夫、出産はゴールではなかった

最後まで何が起こるかわからないのが出産。理想通りにいかなかったことで少し落ち込んだりもしました。

しかし、大変な思いをしながらも元気に生まれてきてくれたわが子を見ると、それまで思い描いていた理想やこだわりなんて全く大したことではなかったと思わせてくれます。

出産は妊婦生活のゴールでなくこれから赤ちゃんと過ごしていく将来への通過点にすぎなかったのだなぁと。赤ちゃんに無事逢えた、それだけで安産だったのだと心の中で思っています。

お腹の赤ちゃんを元気にお外にだしてあげるのが一番のママの仕事、使命なのだと思いました。

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浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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