【助産師監修】不妊治療に大切な、卵子の質を上げる方法とは?
2019.04.04
Yoneco Oda
Mama writer
2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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不妊治療に大切な、卵子の質を上げる方法とは?女性の妊娠できる力には、卵子の質が大きく関わっています。
しかし、卵子の質は女性の年齢とともに、年々低下していくことはご存知でしょうか?卵子の質を上げることは不妊治療の成功率を高めることにもつながります。
今回は、不妊と卵子の質の関係や、卵子の質を上げるための方法をご紹介します。
不妊治療に欠かせない卵子の質とは?
卵子の数は少しずつ減少
女性の妊娠できる能力は20代前半がピークで、30代後半になると急速に低下するといわれています。
35歳を過ぎると妊娠率が下がり、流産率が上がってきます。その原因の一つに女性の卵子の質の低下があげられます。
そもそも女性は生まれる前には卵巣に100〜200万個の原始卵胞(卵子のもとになるもの)を蓄えています。しかし、加齢にともない少しずつその数は減っていきます。
月経が始まる思春期頃には30万個ほどまで減少し、妊娠適齢期には10〜30万個になり、37歳を過ぎると急速に減少していきます。
その後も1回の月経の周期に約1000個が減少していくため1日で30〜40個ずつが減っていっていると考えられています。しかも、原始卵胞は精子と違って、新しく作られることはありません。
卵子の質の低下は卵子の老化
原始卵胞の年齢は自分の年齢と同様です。年齢を重ねると、肌や髪の毛などに老化現象が現れるように、卵子も老化していきます。
卵子の質の低下とは身体の老化であり卵子の老化とも言えるのです。
卵子の質が良ければ排卵がスムーズに行われ、精子との受精後、無事に着床して順調に受精卵を育てていくことのできる可能性が高まります。
しかし、卵子の質が低下していると、様々なトラブルが起こりやすくなり、妊娠する力を下げてしまいます。
卵子の質の低下は不妊の原因に!?
高齢出産の増加
30代後半から40代での高齢出産が増えてきた現代では、不妊のはっきりとした原因が判明しないケースが増えてきています。
20代の卵子と比べると、30代、40代の卵子は加齢による質の低下が起きているため、卵子の質の低下が不妊の原因ではないかと考えられています。
女性が年齢を重ねるごとに卵子の数が減っていき、質の良い卵子が受精できる確率が減っていきます。
卵子の機能が衰える
排卵されるまでの長い期間、卵子は卵巣内で色々なストレスにさらされ続けると質が低下していきます。
卵子の質が低下すると、排卵が行われても卵子が発育不良だったり、受精する力がなかったり、受精後の胚発育が悪化するなど、卵子としての機能が働かない状態が増えます。
卵子の染色体異常の増加
卵子の減数分裂(精子や卵などの生殖細胞の細胞分裂)がうまくいかなくなるために染色体異常の卵子が増えてきます。
卵子の染色体異常は年齢に関係なく起こりますが、加齢により卵子の質が低下すると、細胞分裂が上手く行われず染色体異常のある卵子の数は多くなっていきます。
卵子の質が低下してしまうはっきりとしたメカニズムは、今のところ判明していません。
しかし、35歳を過ぎると妊娠率が低下し流産率が増加するのは、加齢により卵子の質が低下することに深く関係していると考えられています。
卵子の質を上げるためにできることは?
卵子は新しく作られることはないので、卵子の質を以前よりも良くするということは難しいです。しかし、卵巣内にある卵子の質を下げないようにすることは可能と考えられています。
そのためには、食事内容や生活習慣を整え、心身を健康に保つことが大切です。
食事内容を見直す
妊娠する力を高めるためには、栄養バランスの良い食事を毎日3食、規則正しく食べることが基本です。
卵子の質を上げるためには、老化を防ぐ抗酸化作用のある食材を摂ることをおすすめします。特に、ビタミンEには高い抗酸化作用があります。
ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ると相乗効果があります。他にもタンパク質、亜鉛、鉄も妊娠しやすい体を作るためにバランス良く摂取したい栄養素です。
これらを含む食材は下記の通りとなります。
<ビタミンE>
アーモンド、西洋カボチャ、モロヘイヤ、アボカド、ナッツ類
<ビタミンC>
みかん、いちご、赤ピーマン、ブロッコリー
<タンパク質>
肉、魚、卵、大豆、乳製品
<亜鉛>
牡蠣、豚レバー、大豆、スルメ
<鉄>
海藻類、赤身の肉、鰹、煮干し、レバー、大豆
ハーブティーを飲む
フラボノイドを多く含むグリーンルイボスティーもおすすめです。フラボノイドはポリフェノールの一種で、活性酸素の増加を抑制する働きを持ちます。
活性酸素は便秘や肌荒れの原因にもなりますので、サビない体を目指す女性にもおすすめです。
ミネラルも多く含むので、普段のお茶代わりにパートナーと一緒に飲んでもいいですね。ティーバックタイプのものを選ぶと普段の生活に手軽に取り入れられます。
睡眠時間をしっかりとる
活性酸素による酸化ストレスから、卵子を守ってくれるメラトニンというホルモンは午後10時〜午前2時の間に最も多く分泌されます。
夜は遅くとも午後12時までには就寝するようにしましょう。また、メラトニンの分泌量は目から光の刺激が入ると減ってしまうので、部屋を暗くして寝るようにするといいですよ。
身体を冷やさない
身体が冷えて体内の血液のめぐりが悪くなると、卵子の発育に必要なホルモンや栄養などが、血液に乗って子宮や卵巣に十分に運ばれにくくなってしまいます。
入浴して身体を温めたり、日頃から身体を冷やさないような服装を心がけましょう。また、筋肉をつけると体内の熱生産が上がり、基礎代謝が上がるので血行も良くなります。
日常的に適度な運動をして筋力を向上させましょう。
ストレスを溜めない
過剰なストレスは卵子にダメージを与えます。ストレスがあると、心と体が緊張状態になり、筋肉や血管が硬くなってしまいます。
そのため、体温が下がり、血行が悪くなり、子宮や卵巣にホルモンや栄養が十分に行き届かなくなります。
自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスを溜めないようにしましょう。緊張した筋肉や血管をほぐすには、深い呼吸をしながらヨガやストレッチをすると良いでしょう。
禁煙をする
たばこの煙には有害物質が多く含まれていて、卵巣機能を低下させたり、流産リスクを上昇させるという報告があります。
受動喫煙で副流煙を吸い込んでも同様の影響があるため、パートナーも一緒に禁煙しましょう。
漢方薬、サプリメントを摂る
漢方薬やサプリメントを服用することで、体内から卵子の質を向上させることが期待できます。
東洋医学では血のめぐりを良くして、体を温めることで卵子の質を上げられると考えられています。
代表的な漢方薬には、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」があります。
サプリメントのコエンザイムQ10、カルニチンには抗酸化作用があり、活性酸素による身体の酸化を防いでくれる効果があるので、卵子の質の低下の抑制も期待できます。
漢方薬、サプリメントは自身の体質や症状に合ったものを服用することが大事です。まずは、漢方薬局や医師に相談することをおすすめします。
いかがでしたか。卵子へのストレスを減らすためにも食事内容や生活習慣を整えて、心身ともに健やかな生活を送ることを心がけてみてくださいね。
卵子の質を上げて、妊娠する力が向上することは、元気な赤ちゃんを育み、産むための力にもつながりますよ。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
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