【助産師監修】妊婦さんの寝る姿勢。妊娠中、寝るときの正しい姿勢について
2018.07.10
Yoneco Oda
Mama writer
2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠中はだんだんとお腹が大きくなってくるので、寝苦しさや違和感でゆっくりと体を休めることも難しくなってきますよね。
妊娠中はどのような姿勢で休むと妊婦さんもお腹の赤ちゃんもストレスなく過ごすことができるのでしょうか?
今回は、妊婦さんのあお向け寝やうつぶせ寝は大丈夫か?妊娠中のオススメの寝る姿勢などをご紹介します。
妊娠初期はどんな体勢がいいの?
眠るときは人それぞれに落ち着く体勢というのがありますので、あお向けでないと眠れない方や、うつぶせが一番落ち着くという方もいるでしょう。
しかし、お腹の赤ちゃんのことを考えるとこれまでの寝方では赤ちゃんに何か影響が出るのでは、と心配な方も多いと多いのではないでしょうか。
妊娠中の寝方で心配なのは、体勢によって子宮が周辺の臓器や血管を圧迫してしまい、妊婦さんや赤ちゃんの体調に影響がでる恐れがあるということです。
そのため、オススメしたい姿勢は妊娠時期で変わってきます。
まだお腹が大きくない妊娠初期であれば、子宮も小さいので他の臓器を圧迫する心配はないので、妊婦さん自身が楽に感じる体勢で問題はありません。
妊娠初期は、ホルモンバランスが急激に変化したり血液量が増加するなど、妊婦さんの体の状態が大きく変化します。またこの時期の身体は安静を求めているため眠気が強くなります。
体勢にこだわらず、空いた時間にこまめに横になって睡眠不足による疲労やストレスを溜めこまないようにしましょう。
妊婦のあお向けやうつぶせは大丈夫?
あおむけ寝
「妊娠前はいつもあお向けで寝ていた」という方も多いと思います。
妊娠初期は、まだお腹が小さいのであおむけで寝ても問題はありませんが、お腹が大きくなってくる妊娠中期以降は注意が必要です。
子宮が大きくなってくると体内の臓器や血管を圧迫するため、長時間あお向けで寝ると息苦しさを感じるようになってきます。
あお向けで寝ることで、以下のような症状を引き起こすことがあります。
むくみの原因に
あお向けで寝ると大きくなった子宮が下大静脈を圧迫しやすくなります。
下大静脈は下半身からの血液を集めて心臓に流れ込んでいますので、下半身の血液やリンパ液が心臓へと戻りにくくなって、むくみや静脈瘤を引き起こしやすくなります。
お腹の張りの原因に
あお向けによって子宮に下大静脈が圧迫されて血流が悪くなるだけでなく、子宮が背骨側に沈んでいくため周辺の筋肉や皮膚が引っ張られるのでお腹が張りやすくなります。
寝起きにお腹が強く張っている場合は、圧迫が強い可能性があります。
仰臥位低血圧症候群の危険性
妊婦があお向けで寝ることで特に心配されるのが、仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)です。
子宮が下大静脈を圧迫することで心臓に戻る血液量が減ってしまい、心臓から送り出す血液量も減少するため血圧が急速に低下してこの症状を引き起こすことがあります。
仰臥位低血圧症候群になると、めまいや意識がもうろうとする、呼吸困難などの症状があらわれます。ひどい場合には失神してしまうこともあります。
この状態が長く続くと、お腹の赤ちゃんに送られる血液量も減少してしまい、赤ちゃんが低酸素状態になる可能性があります。具合が悪くなってきたらすぐに左側を下にして横向きになりましょう。
下大静脈は背骨の右側を通っています。そのため左側を下にすると下大静脈を圧迫していた子宮の位置が変わり、下大静脈が解放されることで体内の血流が改善されて症状も良くなりますよ。
うつぶせ寝
妊娠中にうつぶせで寝ると、「お腹の赤ちゃんが苦しくなるのでは」と心配になるかもしれませんが、妊娠初期はうつぶせで寝ても自身が苦しさを感じなければ問題はありません。
しかし、妊娠中期以降お腹が大きくなってくると、うつぶせで寝ると息苦しさを感じることが増えてきます。
息苦しさを感じると熟睡しにくくなりますし、身体に負担をかけてしまいます。
また、そのままうつぶせ寝を続けていると、妊婦さんの血液中の酸素濃度が低下してしまうことがあり、お腹の赤ちゃんが低酸素状態になってしまう恐れがあります。
うつぶせで息苦しさや違和感を感じたら、早めに体勢を変えるようにしましょう。
妊娠中のオススメの寝る姿勢は?
妊娠中は妊婦さん自身が楽だと感じる体勢で寝るのが一番ですが、お腹が大きくなってきて、落ち着いて寝られるような姿勢を模索中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな妊婦さんにオススメなのがシムス体位という体勢です。
シムス体位とは?
シムス体位は、19世紀にイギリスの産婦人科医J・マリオン・シムズが提唱した姿勢で「シムス位」、「シムスの姿勢」とも呼ばれています。
身体の左側を下にして横向きに寝ることで、お腹への圧迫を緩和でき体内の血の巡りが良くなるので、妊婦さんがリラックスできる姿勢です。
シムス体位の方法
(1)左側を下にして横に寝る。
(2)下にある左足は真っすぐに伸ばし、右足は前に出して膝を曲げる。
(3)左手は背中の方に伸ばし、右手は腕を曲げて、手を顔の下に添える。
(4)お腹に負担がかからない程度に、少しうつぶせ気味になる。
横向き寝とうつぶせ寝の間のような体勢です。違和感がある場合はクッションや抱き枕、布団などを抱えるようにすると姿勢が安定しますよ。
妊娠初期は良質な睡眠をとることがとても大切なので、あまり姿勢にはこだわらず、自身が楽に感じ安眠できる姿勢で寝るのがいいでしょう。
お腹が大きくなってきて息苦しさを感じるようになったら、その体勢はお腹の赤ちゃんにも負担になっているというサインと考えましょう。
リラックスできるシムス体位を試してみたり、自分に合った快適な姿勢を探してみてくださいね。
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母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
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