子どもの心と体

【助産師監修】だっこはいつまで?だっことスキンシップの重要性

2018.05.15

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

いつもだっこしていたら抱きぐせがついてしまうのでは?大きくなったのにいつまでも甘やかしてる?そんな心配を抱えている方もいるかもしれません。

ところが、だっこやスキンシップをすることは、かえって素晴らしい効果がたくさんうまれることをご存知ですか?

今回はだっことスキンシップの重要性についてご紹介します。

抱きぐせは悪いもの?


赤ちゃんが泣いていても、「すぐにだっこするのは抱きぐせがつくからよくない」という考えが今でも残っています。

これは昔のアメリカ流の育児方法で、1980年には母子手帳にこの理論が導入されていました。ちょうど現在のおじいちゃん・おばあちゃんの世代に当てはまります。

子どもの要求のままにだっこをしていると、ますますせがまれ、だっこのくせがついてしまう。そうすると自立が遅れ、いつまでも親離れできなくなる、という考えに基づきます。

しかしこの育児方法が広まり、すぐにだっこしない=泣いても常にほったらかしにする、という誤った認識で育児をするケースが出てしまいました。

結果、しずかであまり泣かず表情に乏しい、いわゆる「サイレントベビー」を生み出すようになったといわれています。

これは子どもの情緒も安定せずにとても危険な兆候であるとされ、これまでの育児方法が考え直されることとなりました。

普段よりハグやキスが習慣化しているアメリカではスキンシップ不足の心配がありませんでしたが、その育児方法をそのまま日本に当てはめることは難しいと判断されたようです。

そして現在では、積極的にだっこやスキンシップを推奨する現在の考え方が一般的になっています。

子どもがだっこされたいと思うのは本能的な欲求であり、くせと呼ばれるような悪い習慣ではなく正常な発達なのです。

またある研究によると、乳幼児期に親子でたっぷりスキンシップをとった子どもは不安な気持ちが解消され、親への信頼感が強くなるといわれています。

それにより、親離れできなくなるどころかかえって依存的になることを防げることが分かっています。

スキンシップで親に甘えを受け入れてもらえたことで、子どもの情緒が安定し、他者との関わりでも相手の気持ちを受け入れられる・思いやりの気持ちが生まれる、とする専門家もいます。

だっこしてほしいという要求をできるだけかなえてあげることは、子どもの発達に良い影響を与える、すなわち子どもの将来のためになるといえるのではないでしょうか。

愛情ホルモン「オキシトシン」との関係


「オキシトシン」とは愛情ホルモンとも呼ばれる脳内物質で、もともとは母乳や陣痛を促すはたらきを持つホルモンとして知られていました。

しかし近年の研究により、人と親密な関係を築く・愛情を深めるなど、あらゆる対人関係に影響する「神経伝達物質」としての役割もあることが分かってきました。

オキシトシンがもたらす効果

オキシトシンがもたらすおもな効果として、以下のような点があげられます。

①親子の愛着関係を深める

②ストレスに強くなる

③セロトニン(心に安らぎや満足感を感じさせるホルモン)を活性化させる

④記憶力がよくなり学習効果が高まる

⑤体の成長をうながす

子どもの発達に良い効果ばかりのようですが、ではオキシトシンはいったいどうやったら増やすことができるのでしょうか。

オキシトシンの増やし方

オキシトシンは、だっこやスキンシップをすることで、双方に分泌されます。

しかし、良い関係の中で愛情のこもったスキンシップであることが条件です。

そのため、「スキンシップの時間だ!」と義務的な気持ちでおこなったり、子どもが乗り気でない時におこなっても、効果はあまり期待できません。

わざわざスキンシップの特別な時間を設けなくてもいいのです。

子どもがだっこを要求してきた時に応じてあげたり、日々の生活の中でふれあい遊びを取り入れたり、意識的にスキンシップを多くすることでも十分な効果が期待できます。

大きくなってもだっこを求めてきたり甘えてきたときは?


子どもにだっこして、と何回もせがまれるのは乳幼児のほんの一時期のことですが、いくつになっても急に甘えたくなる時はあるものです。

色々なことが一人でできるようになった頃に急に膝の上に乗ってきたり、お母さんの布団に入ってきたり、時にはだっこを求めてきたりすることも。

そんな時はどう対処するのが良いのでしょうか。

子どもが甘えてくるときは、不安やストレスを感じたときと言われています。

下の子が産まれ「お母さんが取られてしまうのではないか」、「もうお母さんからお世話してもらえなくなるのでは」といった不安や、家庭内外でのストレス等です。

本当はお父さんお母さんに話して安心したいのだけれど、言葉ではうまく言い表せなくて甘えるという行動に出ているのかもしれません。

そのような時にお母さんから「甘えないで」などと突き放されてしまったら、子どもはますます不安やストレスを抱え込むことになってしまいます。

そんなときは、優しくぎゅーっと抱きしめてあげてください。理由を問い詰めるのではなく「ずっとそばにいるよ」「だいすきだよ」などという言葉と共に大きな安心を与えてあげましょう。


いかがでしたでしょうか。だっこやスキンシップには親子に嬉しい効果ばかりであることが分かりました。

スキンシップの欲求は、いくつになってもあります。

手をつなぐ、だきしめる、膝枕をする、添い寝をするなど、必ずしもスキンシップがだっこである必要はありません。大切なのは、触れ合うことです。

だっこをせがまれてばかりの毎日だと、「少し休ませて〜」と思ってしまうこともしばしばです。

けれど、子どもの健やかな成長のために大切だということ、そして長い人生の中でのほんのひと時だということを考えると、思わず「もっとだっこしたい!」という気持ちにかられます。

どうぞお子さんをたくさんだっこしてあげてくださいね。

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