【助産師監修】母乳育児で痩せるって本当?成功する産後ダイエットの方法は?
2018.09.05
Fumiko shibuya
Mama writer
2015年5月生まれの男の子を育児中の三十路ママです。天然でのんびり屋の父ちゃんと、プクプク泣き虫マンの3人家族。食事もお買い物もゆっくりできないけれど、赤ちゃんに振り回される毎日も悪くないと思っています♪
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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妊娠中に増えてしまった体重が出産後になかなか戻らない、という悩みをよく聞きます。
「大丈夫!母乳をあげていれば痩せるから!」って先輩ママに言われたけど、一向に痩せる気配がない…。そんなママさんに成功する産後ダイエットの方法をご紹介します。
母乳が出てくる仕組み
赤ちゃんを出産すると脳下垂体からプロラクチンというホルモンが分泌され、乳腺組織で母乳が作られ始めます。母乳の素は言うまでもなくママの血液です。
乳腺葉で作られた母乳は乳管を通り、乳管洞に蓄えられます。赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激により、視床下部からオキシトシンが分泌され母乳を外に押し出します。
その働きはまるで巨大な工場。産後の身体の中は、24時間巨大工場がフル稼働している状態なのです。
母乳育児で痩せる理由
前述のとおり、赤ちゃんに母乳を与えるということは、巨大工場を動かすだけの多くのカロリーを消費する大仕事です。単純に考えれば自然と痩せていきそうな話ですよね。
授乳期において、ママの身体は1日に600~700kcalほど消費するといわれています。600kcalといえば1食分に相当しますから、かなりの消費量です。
厚生労働省の「妊婦・授乳婦」に関する資料によると、授乳婦の推定エネルギー必要量は、プラス350kcal/日とされています。
一般女性の1日の消費カロリーは約1500kcalですから、1日に1850kcalの食事をとってやっと健康的な身体を保てるというわけです。この消費カロリーよりも摂取カロリーが下回れば当然痩せていくはずです。
また、乳腺炎などのおっぱいトラブルを避けるために、脂っこいものや甘いものを我慢するようになるので、食生活の面からも痩せていくとも考えられます。
母乳育児なのに痩せない理由
ここまでの話で、母乳育児で痩せることが自然の流れであるとご説明しましたが、もちろん産後ママ全員がスムーズに痩せるわけではありません。
「完母で育てているのにどうして痩せないの!?」と嘆くみなさん、次のような食生活に思い当たる節はありませんか?
食べ過ぎ/カロリーオーバー
1日あたり1850kcalの食事をとれるとはいえ、それに過信して食べ過ぎてはいませんか。
「母乳をあげているからたくさん食べてもいいの!」こんな言い訳をして、溢れ出る食欲のままに食事や間食をしていては、なかなか痩せるのは難しいでしょう。
早食い
寝たと思ったらすぐ起きる、静かに遊んでいると思えばすぐに抱っこをせがむ、ママの姿が見えないと泣く。
赤ちゃんを育てている間は、ママの時間はほとんどなく食事もゆっくりできません。キッチンで立ったまま食事を済ませたり、ご飯をかきこんで猛スピードで食べることも多いのではないでしょうか。
言うまでもなく早食いは、肥満の代表的な要因のひとつです。
インスタントやレトルト食品の多用
赤ちゃんのお世話であっという間に一日が過ぎていく育児中は、ゆっくりとキッチンで作業する余裕がありません。買い物や下ごしらえ、献立を考えることすら負担に感じますよね。
そんな時に頼りになるのが冷凍食品やインスタントにレトルト食品など、簡単に出せる食料品です。
しかしそれらの食品は、カロリーが高く脂肪や塩分も多く含まれるため、頼りすぎれば太るのは当然です。
母乳不足
完母で安定していて食生活もそれほど乱れていないのに痩せない。
そんなときは母乳不足の可能性があります。思ったほど母乳が出ていないため摂取カロリーの方が多くなっているかもしれません。
定期的に赤ちゃんの体重を測って成長の様子を確認してみましょう。
関連記事:「母乳が足りない?母乳不足のサイン・見分け方は?」
痩せやすくなる食事のポイント
それでは授乳期のママが痩せやすい身体をつくるためには、どのような点に気を付けて食生活を送ればよいのでしょうか。
和食中心のメニュー
授乳期のママが積極的にとりたい栄養素は、主に次のものが挙げられます。
・炭水化物
・タンパク質
・必須アミノ酸
・ビタミンK
・鉄分
米・豆類・野菜・海藻に多く含まれます。これらをバランスよくとるためには和食が一番!脂肪や糖質、塩分などが多くカロリーも高くなりがちな洋食は控えるようにしましょう。
パパがお休みの日にまとめて作り置きをしておくのもいいですね。煮物や和え物や酢の物は油を使わないので毎食取り入れたいメニューです。
ゆっくり食べて腹八分目
赤ちゃんとの生活はついつい早食いになりがちですが、なるべくゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。
満腹中枢が血糖値上昇を感知するまでには20分かかるといわれています。最低でも20分以上かけて食事をし、お腹がパンパンになるまで食べないこと。
赤ちゃんが泣いて食べきれなかったら、数回に分けてもいいかもしれません。
あたたかい飲み物を飲む
授乳期の水分補給は食事と同じくらい大切なことです。1日に2リットル以上は必要ですが、一気に飲む必要はありません。
食事のたびに汁物をプラスしたり、朝晩や授乳のたびに意識して飲むようにするだけでも十分です。逆に一度にたくさん水分をとるとそのまま尿として出てしまうので、少しずつ飲むようにしましょう。
その際は常温かあたたかいものを用意してくださいね。冷たい飲み物は身体を冷やし血流が悪くなるので、母乳の出も悪くなってしまいます。
白湯や麦茶でも良いですが、授乳中のママ向けにブレンドされたハーブティーもおすすめです。
母乳不足が気になる方向けのハーブティーや、母乳が詰まりやすい方向けのハーブティーがありますので、母乳の状態に合わせて飲み分けるといいですね。
ダイエットに意識を向けすぎないこと
今回ご紹介した産後ダイエットのお話は、母乳育児中に痩せやすい環境をつくるためのポイントであって、ダイエットを推奨するものではありません。
「母乳育児中にダイエットをしなきゃ!」と気負うよりも、「質の良い母乳をたくさん出すぞ!」という方に意識を向ける方が、赤ちゃんにとってもママにとっても最良です。
その結果自然と産後ダイエットに成功していた、というのが一番ですね。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
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