【助産師監修】新生児・赤ちゃんが母乳を噴水のように吐く!?原因は?
2018.06.27
AMOMA編集部
妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。
浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。
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赤ちゃんが母乳を吐きやすいということは、聞いたことがあると思います。でも、吐き方によっては少し気をつけた方がよいこともあります。
入院中は大丈夫だったのに、退院後に噴水のように母乳を吐く場合は、病気のサインかもしれません。気をつけておきたい吐き方の症状と対処法についてお話しします。
意外と知らない?赤ちゃんの胃のこと
赤ちゃんの胃の特徴
生まれたばかりの赤ちゃんの胃の容量はわずか30ml~50mlほどで、成長とともに少しずつ増えていきます。生後6ヶ月までに120ml~200ml、生後1年までに200ml~300mlまでに成長します。
そして、離乳食が順調に進むことでさらに胃の容量は大きくなっていきます。
赤ちゃんの胃の形
赤ちゃんは大人と比べて縦に長く、食道と胃のつなぎ目である噴門部(食道への食べ物や飲み物の逆流を防ぐ部分)も大人と比べてゆるく、とっくりの形をしています。
また、胃を固定しているじん帯もゆるいためとても不安定です。
赤ちゃんが嘔吐する原因
生理的な原因で吐く
赤ちゃんは胃の容量が少ないことや、胃の形、ゆるみから生理的に吐きやすいといえます。
母乳・ミルクを飲み過ぎた、空気を一緒に飲んだ、飲んですぐに横になったなど少しの刺激でも吐いてしまうことがあります。
ママの母乳が多すぎて吐く
赤ちゃんが飲むスピードよりママの母乳量が多く、勢い良く飛び出してしまうと、赤ちゃんがむせて吐いてしまうことがあります。授乳前に2~3割ほど搾って圧抜きをしましょう。
母乳過多の場合は「母乳が出過ぎてつまる!母乳分泌過多症の原因と対策」も参考になさってください。
病気が原因で吐く場合とその症状
胃腸炎
細菌やウイルス感染による嘔吐で、発熱や下痢、嘔吐があります。
食中毒
菌のついた食べ物が原因でおこります。下痢、嘔吐、発熱があります。
急性中耳炎
嘔吐、高熱、耳を痛がる、不機嫌などがあります。
喘息、気管支炎
息が早い、咳、嘔吐の症状があります。
髄膜炎
脳に細菌が入り感染をおこします。高熱、嘔吐、ぐったりするなどの症状があります。
肥厚性幽門狭窄症
胃の出口が厚くなり食べ物が十二指腸へ流れない病気です。生後3週間~3ヶ月の赤ちゃんに多く、噴水の様に吐く、体重減少、コーヒーかすの様なものを吐く、黄疸などがあります。
頭部外傷
頭を打った後にけいれんや嘔吐の症状があります。
腸重積症
腸が腸の中に入り組んで腸閉塞をおこす病気。激しく泣いたり、泣き止んだりを繰り返す、嘔吐、腹痛(赤ちゃんの場合、足を体に引き付けるように泣く)、顔色が青い、血便などがあります。
消化管閉鎖症
腸の一部が閉鎖している病気。黄色や緑色のものを吐く、お腹が張る、便秘があります。
気をつけたい嘔吐は?
授乳後にげっぷと一緒にダラダラ吐いている場合や、嘔吐の回数が1~2回で機嫌がよい場合は様子をみて大丈夫です。しかし、すぐに病院に連れて行くべき嘔吐もあるので気をつけましょう。
病院にいくべき嘔吐
以下のような場合はすぐに病院を受診しましょう。
・熱はないが下痢がある
・鼻水や咳、熱も同時にある
・授乳後、噴水のように吐く
・尿や便の量が少ない
・吐く回数が多い
・機嫌が悪い
以下の場合は、休日、深夜にかかわらずただちに病院を受診して下さい。
・水分が摂れずぐったりしている
・激しく泣いたり、泣き止んだりを繰り返す
・血便がある
・頭を打った後に嘔吐する
・嘔吐したものに血が混じる
・お腹がパンパンに張る
・嘔吐が止まらない
・顔色が悪い
判断がつかない場合も赤ちゃんが「いつもと違う」なら早めに受診しましょう。赤ちゃんは言葉を話せないので、お母さんが察知してあげることが大切です。
嘔吐したときの対処
嘔吐したときの対処法
1)吐いたもので喉を詰まらせないように顔を横に向けます。
2)服が汚れてしまった場合は、嘔吐を誘発しないよう静かに着替えさせます。
3)顔や口周りが汚れてしまった場合は温かいタオルでふき取ってあげます。
4)嘔吐したものの色や匂い、内容を確認し受診したときに医師に報告します。
5)熱、顔色、機嫌、下痢など他の症状がないか確認します。
6)吐いた後すぐに水分補給をするとさらに吐いてしまうので、落ち着いてから少量のミルクや経口補水液を飲ませます。
7)緊急を要すると思った場合はすぐに受診、様子をみてよいと思った場合はそのまま様子を見て、場合によっては受診しましょう。
判断に困ったときは?
赤ちゃんの急な病気に困ったときは、かかりつけの小児科に電話で相談、受診をしましょう。もし夜間や休日の場合で、どう対処すればよいか迷ったときは、小児救急電話相談があります。
小児救急電話相談とは、小さなお子さんをお持ちの保護者が、夜間や休日の子どもの急な病気に困ったときに、どう対処すればよいかを小児科医師や看護師に相談できる事業です。
「♯8000」をプッシュすることで各都道府県の相談窓口につながります。時間帯は、19時~翌朝8時の場合が多いですが、都道府県によって23時までのところや平日と土日では時間帯が違うところもありますので確認しておきましょう。
いつもの様子を知ることが大切
嘔吐の症状は赤ちゃんによくあることですが、いつもと違う場合は注意が必要です。そのため、赤ちゃんの「いつもの様子」をきちんと知っておくことが大切です。
大切な赤ちゃんを、いつも守ってくれているママだからわかることがあるのです。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
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